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「被災地支援 私たちにできること」(くらし☆解説)

竹田 忠  解説委員

今回の地震では、およそ10万人が今も避難生活を余儀なくされています。
被災者を支える生活物資も、そして支援をする人もまだまだ足りません。
被災地を支援するために、できることは何か?
担当は竹田忠(たけだ・ただし)解説委員です。

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Q1.被災地を支えるために、できることというと、
まずあげられのが、この三つです。
(1)東日本大震災でも大きな役割を果たした災害ボランティア
(2)支援物資を現地に送る
(3)そして寄付をする。
この三つ、今、どういう状況になっているんでしょうか?

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A1.
まず、災害ボランティアですが、
今回の被災地では、強い余震が続いているために
ボランティアの受け入れが遅れていました。
しかし、発生から一週間が過ぎて、少しづつ受け入れる動きが出ています。
たとえば、熊本市では、市の社会福祉協議会が
22日(金)から、災害ボランティアセンターを開設して、
全国から支援に駆けつけるボランティアの受け入れを開始しました。

Q2.どういう作業にあたるんでしょうか?

A2.
今回の場合は、早速、被害にあった住宅に行ってもらって
家具の片づけや、掃除、それに粗大ごみの運び出しや、土砂の撤去、などを
お願いすることになっています。

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Q3.まだ余震が続いているんですが、大丈夫なんでしょうか?

A3.
そこは、重要なポイントです。
そのために、事前に担当者が下調べをして、
倒壊のおそれのある家屋では、作業は行わない。

また、大きな揺れがあった場合は、ただちに作業を中断して、
身の安全を守ってもらう。
この2点を徹底したいと、受け入れ側では話しています。

Q4.災害ボランティアというのは大変ですね。

A4.
そうなんです。でも大変なのは、それだけではありません。
被災地には余裕がありませんので、
ボランティアが口にする水や食料、それに宿泊先は、
すべて自分で手配することが原則です。

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また、現地では被災者の人たちと直接向き合うことになりますので、
失礼なことのないよう、様々な配慮も必要になります。

どういうことかというと、例えば、厳しい環境の中で耐えている被災者に対して、
「頑張ってください」、「元気を出してください」、などと、
あまりむやみ言わないようにする。
心の負担になってしまうおそれがあります。

また、家の片付けを手伝っている時には
「これ、捨てましょうか」、と聞くのではなく、「きれいに洗って、取っておきましょうか」
といったような聞き方をする、といった配慮が必要になります。

多くの場合、災害ボランティアセンターでは、
現地に入る前に、こうした必要な心構えについて
参加者に説明することになっています。
ボランティアがになう期待と役割が、それだけ重いということだと思います。

Q5.これからボランティアとして被災地に入りたい人はどうすればいいんでしょう?

A5.
今後、地震の状況によっては
受け入れのスクジュールが大きく変わることもありますので、
熊本県や各市町村の社会福祉協議会のHPをぜひ確認してください。

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Q6.次に支援物資ですが、避難所ではまだ、飲料水や食料など、
生活物資が不足しているというニュースが流れてますよね。

A6.
そうなんです。ただ、この支援物資、現地に送る前に、
ちょっと注意が必要なんです。

というのも、支援物資は、県内の拠点となる集積所には、
かなり大量に届いているんです。
しかし、その仕分けや、搬送の人手が足りずに、
避難所までなかなか届かない、という状況になっています。
このため、熊本市など、被災自治体の多くは、
個人での支援物資を送ることは、当面控えてほしい、
また、どこに何を送ればいいのか、などという電話での問い合わせも
見合わせてほしいと呼びかけているんです。

Q7.では、どうすればいいんですか?

A7.
実は、今、福岡市など、周辺の自治体が、かわりに支援物資を引き受けます、
と手をあげているんです。
どういうことかというと、被災地に比べて余裕のある福岡市が、
大量の支援物資の受け入れ窓口となって、
ちゃんと仕分けをした上で、市の職員が、熊本の避難所まで直接、
届けるという取り組みを行っているんです。
どういう支援物資が必要かも、福岡市のHPに出ています。

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それを見ると、今、必要なものは、ウエットティッシュや栄養補助食品。
逆に、水やトイレットペーパー、おむつ、タオル、毛布などは、
もう受け付け見合わせ、つまり、今はもう足りています、という表記になっています。
物資は、ある所にはある、ということなんです。
これから支援物資を送る場合は、こうした情報を参考にしてください。

それからもう一つ、注意が必要なのは、送られると困るもの。
いわば、ありがた迷惑になるかもしれない、というものもあるんです。

それが、痛みのひどい古着、すぐに腐ってしまう生鮮食品や冷凍食品など。
結局、こうした支援物資は大量に残ってしまい、
最後は、お金をかけて処分する、ということになります。

また、これはちょっと意外なんですが、
寄せ書きや千羽鶴なども、送るのをチョット待ってほしいという声があるんです。
千羽鶴は大変、真心のこもった、ありがたいものですが、
実は狭い避難所では、送られても飾っておくスペースがないし、保管にも手間取る。
かといって決して粗末にはできないし、正直、扱いに苦慮する、という話しは
東日本大震災の時の避難所でも、よく聞いた話しです。
少し時間がたって、学校の授業が再開されて、教室の風景が戻ってきた時、
そこに千羽鶴があると、とても勇気づけられることだろうと思いますが、
大勢の人で一杯の避難所では、まだちょっと早い、ということかもしれません。

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Q8.最後に寄付金、これはどうすればいいでしょうか?

A8.これもちょっと注意が必要なのは、寄付金には二つの種類があります。
一つは義援金です。
これは、被災者に直接、届けられるお金です。
ただ、課題があって、ある程度、お金が集まってから、被災者の数に応じて
公平にわけていきますので、実際にお金が被災者に届くのには時間がかかります。

もう一つは支援金です。
こちらは被災者ではなく、現地で復旧活動やボランティア活動などにあたる、
NPOなどの支援団体の活動に使われます。こちらはすぐに使われることになります。

こう説明しますと、何だ、支援金は被災者には直接行かないのか、
と思われるかもしれませんが、
行政の現場を取材してみますと、聞こえてくるのは、
義援金も重要だが、支援金も重要です。
ぜひ、どちらも忘れずにお願いします、という声なんです。

さきほども触れましたように今、被災地の自治体は本当に人が不足しています。
その上、物資の仕分けや輸送などについては、経験も不足している。
ノウハウが足りない。
こんな時に助けになるのは、民間のNPOの人たちです。
民間の助けがなければ、被災者への支援活動はうまくいきません。

しかし、NPOの人たちは、どうしているかというと、
基本的には、手弁当で、持ち出しで、仕事を休んで、取り組んでいる人が多い。
このため、行政の現場からは、今後もNPOの人たちに協力してもらうために、
ぜひ、支援金をお願いしたい、という声が出てくるわけです。

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Q9.最近、ニュースでは、また別の形で被災地を支えようという動きも
伝えられていますね。

A9.
その一つが、東京銀座にある銀座熊本館です。
ここは、熊本県内の名産品を集めた、いわゆるアンテナ・ショップと呼ばれるもので、
買いものを通じて、被災地を支援しようと、
連日、朝かから大勢のひとが列を作って、買いものに訪れています。

Q10.でも、銀座までは遠い、という人はどうすればいいんですか?

A10.
そこで、最近はやりの「ふるさと納税」という方法もあります。
ふるさと納税というのは、今回の被災地など、
自分が応援したい自治体に寄付をすれば、
その額に応じて、税金が一定額まで減額される、
つまり税金がその分安くなる、というものです。
ふるさと納税の手続きができる、インターネット上のサイトでは、
被災地応援のコーナーもできています。

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被災地の支援にはいろいろな方法があります。
自分にあった方法をぜひ探してみてください。

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