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「災害時のSNS・デマに気を付けて」(くらし☆解説)

三輪 誠司  解説委員

熊本や大分で続いている地震では、被害や支援に関する情報を発信するためにインターネットが使われています。その注意点についてお伝えします。

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特に利用されているのがツイッターやフェイスブックなどの「ソーシャルネットワークサービス」・SNS です。

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簡単な操作で情報発信したり、受け取ることができます。例えば「避難所で飲み水が不足しています」という書き込みをします。ここに「拡散希望」などと付け加えると、その情報を見た人がコピーしてどんどん広めてくれるんです。

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さらにコピーが別の人にもコピーされ、多くの人に情報を知らせることができます。実際に、今回の地震でも、物資が不足しているという避難所からの書き込みがきっかけになって、支援物資が届けられたというケースもありました。

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しかし流れている情報の中に、事実とは異なる「デマ」も含まれているのが問題です。中には「夜中の1時頃、佐賀に震度7の地震が来るかもしれないという予報が出ていて、いつでも逃げられるように準備して」というものがありました。また、宅配業者を名乗る書き込みで「支援物資輸送協力隊を結成いたしました」というものもありました。さらには地震の直後「うちの近くの動物園からライオン放たれた」という写真付きの投稿もありました。

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まず震度7という書き込みについては、時間と場所、さらに揺れの大きさを予知することは、今の科学では無理です。次に宅配業者の方は、これは、宅配業者を名乗った何者かが、なり済まして発信したものでした。最後にライオンについても全くの嘘でも写真も外国で撮影された無関係のものと分かりました。

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地震が相次ぎ、不安で仕方がない心理状態では、このようなデマにふりまわされてしまう恐れがあります。決してこのようなデマを投稿してはいけません。このほか、最初の情報確認があいまいで、誤った情報が流れてしまったというケースもあると思います。

誤った内容の書き込みを消すことができるのは、SNSを運営している会社と書き込んだ本人です。しかし、情報が拡散してしまったあとは、もとの書き込みを消したとしても、コピーされた書き込みは残りますので、消しきることは不可能です。

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「これはデマですよ」という書き込みをするということは有効ですが、デマの拡散との時間差ができてしまうという限界があります。東日本大震災の時に拡散したデマに関する研究があります。「原発事故に備えるため、イソジン3滴入れた水を今すぐ飲め」などというデマの書き込みの数をまとめてみると、1日おきか2日おきに書き込みの数の増加があります。これに対して「これはデマです」という書き込みを調べると、最初の書き込みから丸1日と丸2日後にでています。デマはある程度拡散してしまうことは避けられないと言えます。

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情報を受け取った側が、内容の真偽を確認するのはなかなか難しいですが、手掛かりになる要素がいくつかあります。1つ目は、ツイッターの場合、発信元が「認証済みアカウント」かどうかです。青色に白いチェックが入ったマークがついている場合は、ツイッター社が発信者の確認をしていることを示しています。NHKニュースのアカウントにも付いています。2つめは受け取った情報の中に、情報源が書かれているかどうかです。例えば、自治体、気象庁、報道機関など、情報の引用元のホームページアドレスが書かれている場合は、信憑性が高い場合が多いということです。3つめは情報を発信した人の過去の書き込みを確認してみることです。過去にいたずらや悪意のある書き込みがないか。または、利用者登録をしたばかりで過去に全く発信をしていない場合は、デマを流すための特別なアカウントを作ったばかりという見方もできます。

心配なのは、スマートフォンや SNS を使う人が、5 年前の東日本大震災の時よりも多くなり、年齢も低くなっていることです。社会経験のない子どもはデマかどうか判別しにくくなります。誤った情報にだまされて広めてしまうと、結局デマの蔓延に加担してしまうことになりますので注意してほしいと思います。

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