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くらし☆解説 「時刻はどう決まる? うるう秒挿入へ」

水野 倫之  解説委員

あす7月1日は、「うるう秒」が世界一斉に挿入され、1日が1秒だけ長くなる特別な日。
なぜ1秒長くなるのか、そして時刻はどのように決められているのか、水野倫之解説委員。
 
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Q:7月1日はいつ、1秒が挿入される?

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A:世界標準時の午前0時直前、
日本では午前8時59分59秒と午前9時ちょうどの間に、
59分60秒という1秒が挿入。
 
Q:なぜ1秒を追加する?

A:私たちが普段使う時計の時刻と、太陽などの天体の動き、
つまり地球の自転との間のズレを修正するため。
 
Q:視聴者から、日本の標準時は兵庫県明石市の天文台で決めていると昔学校で習った記憶がありますが今は違うんですか?という質問。
 
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A:明石市には今も昔も天文台はなく、時刻を決めたことはない。
一昔前まで人類は太陽や星の動きを観測して、地球が1回転する時間を1日、
24時間と決め、太陽の動きによって生活のリズムをつけてきた。
日本では東京・三鷹の国立天文台が観測、
世界では当時海洋国家として天文観測に力を入れていたイギリスが中心的役割、
19世紀にはグリニッジ天文台を通る子午線を世界の時刻の起点とする
「グリニッジ標準時」が決まり、15度ごとに1時間の時差。
日本では明石市を通る東経135度の子午線を基準、
明石で観測されていると誤解した人もいるかも。
ただ観測精度が上がるにつれて地球の自転は一定ではない事が分かり、
正確な時刻を決めるには都合が悪くなってきた。
 
Q:地球の自転どうなっている?

A:徐々に遅くなっている。
岩手県にある国立天文台では宇宙の遠くの天体からの電波を24時間体制で観測。
そして石垣島などに設置したアンテナでも同じ電波をとらえ、
その時間差から地球の自転速度を割り出している。
遅くなっている理由は月の引力や、地球内部のマントルの対流などの影響で
ブレーキがかかっているためと考えられているが、将来の予測は難しく、
代わりに正確な時計として登場したのが原子時計。
 
Q:どんな仕組み?

A:安定している原子の振動で、時間をはかる。
現在1秒は、セシウム原子の91億回分あまりの振動と定義。
日本では東京小金井市の情報通信研究機構にある原子時計で標準時を決めている。
原子時計、身近な存在で、
カーナビやスマホに利用されるアメリカのGPS衛星にも
位置情報を知るために原子時計、その時刻情報はどこでも受信できることから株取引など世界中で使われ、事実上の標準時。
 
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ただほっておくと原子時計と地球の自転をもとにした時刻のズレがだんだん広がる。
このままいくと、遠い将来、
時計の時刻は深夜なのに外はまだ明るいといったことが起きかねない。
そこで原子時計の時刻に数年ごとに1秒を加えて遅らせ、
太陽の動きにあわせようというのがうるう秒挿入で、今回は3年ぶり26回目。
 
Q:長くなると言ってもわずか1秒、一般の人の暮らしには影響ない?

A:現代のコンピューター社会がこの1秒に対応するのは非常にやっかい。
例えば我々放送局も対策。
放送の時間を決める時計にうるう秒が入ってないと、
例えば総合テレビでは午前9時からのニュースが1秒早く始まってしまうので、
事前に調整が必要。
 
Q:どのように調整する?

A:あす午前9時直前の100秒間に1秒を分散して挿入し、
午前9時ちょうどには時間があうように調整。
先週その作業が行われたが、間違いがあっては大変なので3人がかりで、
マニュアルを見ながら操作。
こうした調整は全国の放送局で行わなければならず、人もコストもかかる上に緊張する作業で
担当の技術職員は「もう、うるう秒はやめてほしい」と話していた。

前回3年前は、日本でもサーバーの不具合で
インターネットのサービスがつながりにくくなったトラブルも。
コンピューターの誤作動を心配するアメリカや日本は挿入をやめようと主張しているが、
天体の動きで決まるグリニッジ標準時にこだわるイギリスなどが反対して調整がつかず、
うるう秒はしばらく続くと見られる。

このようにうるう秒の1秒は、時をはかる技術が進歩した結果とも言えるが、
将来この1秒の定義が日本の技術によってもっと厳密になるかも。
 
Q:どういうこと?

A:実はセシウム原子時計も、原子がフラついて振動を正確に測れないこともあり、
3,000万年に1秒程度の誤差。
そこで東京大学の研究グループが中心となり、
その1000倍精度が良い「光格子時計」の開発。
より振動数が多いストロンチウムの原子に光を当てることで
ふらつかないようしっかりと閉じ込め、測定誤差を少なくして精度を高める。
そしてこのほど138億年間、つまり宇宙が誕生してから現在まで動かし続けたとしても
1秒も狂わない精度を出すことに成功。
 
Q:これで何ができる?

A:光格子時計が実用化しても、うるう秒が自動調整できるわけではないが、
時間の進み方というのはどこでも同じではない。
アインシュタインの相対性理論によると、重力が強い場所ほど時間はゆっくり。
 
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例えば山の頂上より、重力が強い平地の方が時間がゆっくり進み、
寿命もほんのちょっとだけ長く。
 
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光格子時計が実用化すれば1㎝の高さの違いによる時間の進み方まで
区別。地下に重い金属資源があれば重力が大きく時間の進み方が遅くなるから、
将来小型化した光格子時計を地下に配置することで資源を発見できるかも。

1秒を巡っては各国もあらたな時計の開発を進めていて競争が激しいが、
近い将来日本発の時計が時刻の標準となって、
新しい技術を生み出してくれることを期待したい。
 

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