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くらし☆解説 「相次ぐ火山噴火 なぜ?どう備える?」

二宮 徹  解説委員

岩渕:くらし☆解説。岩渕梢です。口永良部島や浅間山が噴火するなど、このところ、各地の火山活動が気になります。そこで、きょうは「相次ぐ火山噴火 なぜ?どう備える?」と題して、お伝えします。
二宮徹解説委員です。
 
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岩渕:二宮さん。口永良部島、浅間山と噴火が相次いでいますね。

二宮:口永良部島が爆発的な噴火をしたのは先月29日でした。火砕流が海岸まで達し、気象庁は、噴火警戒レベルを導入以来、全国で初めて5に引き上げ、全島民が隣の屋久島に避難しました。その後も、再び噴火し、活発な状態が続いています。
また、長野と群馬の県境にある浅間山では16日と19日にごく小規模な噴火が発生しました。噴火警戒レベルは2のままですが、地元の自治体は登山者などに注意を呼び掛けています。
 
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きのう24日の時点で、警報が発表されている火山は12あります。
桜島は特に活発で、毎日のように噴火していて、レベル3です。去年噴火した御嶽山もレベル3です。
箱根山や草津白根山、阿蘇山などがレベル2です。
 
【火山国・日本】
岩渕:去年、御嶽山で多くの方が亡くなったばかりなので、噴火と聞くと怖くなります。あらためて日本は火山国なのだと実感します。

二宮:日本には110の活火山があります。北海道から九州、それに伊豆諸島や南西諸島まで、縦断するように火山帯が連なっています。世界のおよそ7%の火山が日本にあります。
 
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岩渕:どうして、日本にはこんなに火山が多いのですか?

二宮:プレートと呼ばれる岩盤が関係しています。プレートは地震の原因でもあるので、聞いたことがあると思いますが、潜り込んだプレートが日本の真下でマグマを作っているのです。

岩渕:プレートは地震を起こすだけでなく、マグマも作るのですか?

二宮:日本の地下では、海側のプレートが潜り込んでいった先、深さ100キロくらいから百数十キロのところでプレートの一部が溶けて軽くなり、上に上がってきます。これがマグマです。
マグマができる深さは圧力や温度の関係で一定なため、プレートの境目と平行に火山が並んでいるのです。「火山フロント」「火山前線」と呼ばれる線より海側は、プレートが浅く、マグマができにくいので、活火山はありません。
一方で、プレートは境目でずれ動いたり、割れたりして、よく地震や津波を引き起こします。その中で最も大きかったのが東日本大震災の巨大地震で、火山活動に影響を及ぼしたと見られています。
 
岩渕:あの地震は火山にも影響したのですか。

二宮:海底では、幅およそ200キロ、長さ400キロあまりの範囲が、最大20メートル以上も東へ動きました。陸地も引っ張られて最大5メートルあまり動きましたが、実はその変動が今も続いているのです。
 
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岩渕:4年以上も前の地震なのに今も動いているのですか?

二宮:国土地理院によりますと、震災翌日から先月まで、およそ4年2か月間で、沿岸を中心に最大1メートルあまりも東に動いています。変動は北海道から中部地方まで広い範囲で続いています。

岩渕:地盤が大きく変動したことと、火山活動は関係あるのですか?

二宮:専門家の多くは関連があると見ています。そして、火山が静かだった時期は終わったという見方が出ています。

岩渕:火山が静かだったというのは意外です。震災の前にも、有珠山や三宅島が噴火しましたし、雲仙普賢岳の被害も覚えています。

二宮:それらは、被害者や避難者が多かったので、大きな噴火だったと思われがちですが、実は噴火の規模自体はそれほどではなかったのです。この100年、大量の火山灰などを噴き出し、遠くでも積もるような大噴火は起きていないのです。
 
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二宮:江戸時代はそうした大噴火が相次ぎました。噴き出した火山灰などの量で比べると、去年の御嶽山の1000倍前後、またはそれ以上です。富士山や浅間山の火山灰は江戸でも積もりましたし、浅間山は大火砕流などでふもとの1000人以上が死亡しました。
しかし20世紀、これらに匹敵する噴火は、東北にまで火山灰を降らせた桜島と、北海道駒ケ岳だけです。これらは何千年に一度の破局的な巨大噴火ではなく、100年の間に数回起きるような大きさですが、この程度ですら起きていないのです。こうした噴火がいつどこで起きてもおかしくないと思って、備えておく必要があります。

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岩渕:噴火にどう備えたらよいですか。

二宮:私は災害を長く取材してきて、「正しく恐れる」ことが大事だと思っています。正しい知識と正確な情報、そして十分な備えがあれば、危険に巻き込まれる可能性を減らせます。大噴火であれば、気象庁などが何らかの兆候が捉えられる可能性がありますので、日頃からそうした情報に気を付けながら、備えてほしいと思います。これは火山から遠いところに住んでいる人も同じです。

例えば、富士山や浅間山が大噴火すれば、東京周辺も火山灰がかなり積もり、交通や物流が止まるおそれがあります。備蓄は水や食料などだけでなく、マスクとゴーグルも加えておくべきです。 
マスクは隙間のない粉じん作業用のマスクが望ましいです。100円から数百円で、ホームセンターなどで買えます。ゴーグルは花粉症用のものでも使えます。
火山灰はのどや呼吸器を痛めるうえ、ガラス成分が入っているので、目をこすると傷つくおそれがあります。
 
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岩渕:もうすぐ夏山シーズンです。登山で火山に行く人はどう備えればいい?
また、火山の近くに住む人は?

二宮:去年の御嶽山のような突然の噴火に備える必要があります。目の前で噴火したら逃げるしかありませんが、少なくともヘルメット、マスク、ゴーグルを持つべきです。また、自治体などの火山防災マップはホームページで印刷できます。最新の情報を得るためラジオや携帯端末も必要です。
周辺の住民は、避難所や避難経路を確認しておいてください。

岩渕:地震や津波と同じように、火山に対しても備えは必要ですね。

二宮:根拠もなく過信したり、闇雲に怖がったりしないように、まずは火山についてよく知ることです。火山は、温泉や絶景など多くの恵みを与えてくれますが、時々、怖い顔を見せます。その怖さを知り、しっかりと備えておくことが大切です。
 

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