解説アーカイブス これまでの解説記事

くらし☆解説

twitterにURLを送る facebookにURLを送る ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

くらし☆解説 「熱中症 今から気をつけて!」

土屋 敏之  解説委員

岩渕: くらし☆解説です。
暑い季節に気になる熱中症。最近は、年間30万人から40万人もの人が熱中症になっていますが、以前とは少し違った注意が必要なんだそうです。
土屋敏之解説委員とお伝えします。
 
kkk150616_00mado.jpg

岩渕: 熱中症について、以前とは違ってきたって、どういうことですか?

◆そもそも熱中症に気をつける時期ですが、梅雨明けして夏本番を迎えたら要注意、と思っている方が、まだ多いんじゃないでしょうか?

岩渕: そうかもしれませんね

◆確かに、梅雨明け後の7月後半から患者数は特に多いんですが、最近は、それよりかなり早い時期から、熱中症になる方が増えています。
◆こちらは去年、東京23区で1日ごとに救急車で搬送された熱中症患者の数です。
 
kkk150616_01_0.jpg

「熱中症患者情報速報」(国立環境研究所)

◆5月、6月といった時期から熱中症が出ていますよね。
去年、関東の梅雨明けは7月21日頃でしたが、救急搬送された人の4人に1人は梅雨明けより前だったんです。

岩渕: 確かにわりと早い時期から、熱中症のことがニュースになったりしてますね

◆そうなんです。これは東京の例ですが、全国的にも近年、患者数の増加に加えて、早い時期から熱中症になる方が増える傾向があるんです。

kkk150616_01_1.jpg

「熱中症患者情報速報」(国立環境研究所)

◆ですから、『熱中症は梅雨が明けたら注意』ではなく『今から注意』して下さい。

岩渕: なぜ早い時期から熱中症が増えているんですか?

kkk150616_01_2.jpg

「熱中症患者情報速報」(国立環境研究所)

◆やはり気温の上昇が関係しています。
◆患者数のグラフに、その日の最高気温を重ねるとこうなります。大体、最高気温が30度以上、つまり真夏日になると熱中症患者が急増するとわかっています。

岩渕: 確かに最高気温が高い日ほど、熱中症の方が多いですね

◆もう一つ、絶対的な気温の高さだけでなく、5、6月のこの部分のように、気温が上昇する時期、は要注意です。体がまだ暑さに順応していない時に気温が上がると熱中症になりやすいんです。
◆今年も既に熱中症で救急搬送される人が多く出ていることが、けさのニュースでも伝えられていましたね。

岩渕: なるほど、だから梅雨明け前から注意なんですね。
私も、暑さでふらっとしたり頭が痛くなったり・・・とか、熱中症かな?と感じたことはありますけど、そもそも、どんな状態になったら熱中症なんですか?
 
kkk150616_02.jpg

◆はい。熱中症と言うのは暑い環境にさらされて起きる体の不調の総称ですが、代表的なのは、まず、めまいや立ちくらみ、手足のしびれ、こむら返りとか、足がつったりすることもあります。
他にも、ひどい頭痛や吐き気、だるさ、重症だと真っすぐ歩けなくなったり、意識が無くなることもあります。
◆亡くなる方も年間、数百人から千人を超えることもあるんです。

岩渕: 軽く見てはいけないですね

◆そして、先ほどは熱中症の「時期」に注目しましたが、「場所」についても、変化が見られます。以前は「日射病」という言葉が使われていましたし、熱中症は「日差しの強い野外で運動するとなる」ものだと思っている方、多いですよね?

岩渕: 違うんですか?

◆こちらを見て下さい。熱中症になった状況を分析したデータです。
 
kkk150616_03_1.jpg

「熱中症患者情報速報」(国立環境研究所)より一部改変

◆野外などで運動をしていて熱中症になった方ももちろん多いのですが、全体の10%あまりでした。
◆そして、実は一番多かったのは、住宅内でした。
最近、高齢者が家で普通に生活している中で熱中症になることが増えています。
◆特に、重症の熱中症は、一人暮らしの高齢者が、家の中でエアコンを使っておらず、発生したケースが目立ちます。

岩渕: 高齢化とか核家族化とか、色んなことが背景にありそうですね・・・

kkk150616_03_2.jpg

「熱中症患者情報速報」(国立環境研究所)より一部改変

◆ですから、暑い日の屋外はもちろん危険ですが、家の中の熱中症にも、特に高齢の方や、小さなお子さんのいる家庭などでも、注意してほしいと思います。

◆あと、温度が高いのはもちろんですが、湿度も高いほど危ないんです。
汗が蒸発して体温を下げることができないので、高温多湿の梅雨時はそういう意味でも要注意です。

岩渕: 具体的には、これからどう対処したらいいですか?

◆今年、日本救急医学会が「熱中症診療ガイドライン」をまとめました。

◆医師が診療する際の手引きになるもので、熱中症のこうした詳しい手引きとしては、世界初のものだそうです。
この中に、私たち一般向けにも役立つ知識がまとめられています。

◆たとえば、まず自分でできる大事なことは「水分補給」ですよね。普段の水分補給
は、スポーツドリンクでも、梅昆布茶とか味噌汁でもいいとされています。

岩渕: ただの水ではない方がいいんですね

◆はい、汗で出てしまう塩分の補給も必要だからですね。

◆熱中症の予防や治療で使われるのは、「経口補水液」と呼ばれるものですが、どこでも手に入るわけではありませんよね。
◆そこで簡単な水分補給にオススメの飲み物の作り方が、ガイドラインで紹介されています。材料はこちらです。
 
岩渕: これって、水と、食塩と、砂糖ですか?
 
kkk150616_04.jpg

「熱中症診療ガイドライン 2015」  日本救急医学会

◆はい。熱中症予防としては、大体0.1~0.2%の食塩水をとるといいですが、ただの塩水よりも、糖分を適量加えた方が腸から吸収しやすいそうです。

◆持病のある方は医師に相談してほしいのですが、ガイドラインで紹介されているレシピは、水1リットルに対して食塩が1~2g、そして砂糖が20~40gです。

岩渕: 砂糖が結構多いですね

◆これでも市販のスポーツドリンクなどより糖分は少なめです。
ですので、味はお好みで何か少し加えてもいいそうで、私も家で作ってみましたが、ちょっとレモン果汁などを入れると、かなりおいしくなりました。
大きめのペットボトルに材料を入れて振るだけでもできますよ。

岩渕: とりあえず簡単に作れそうですね。
でも、予防を心がけていても熱中症になってしまったら、どうしたらいいんでしょう?どういう場合は病院に行くべきなのか、迷いますよね?
 
kkk150616_05.jpg

「熱中症 環境保健マニュアル 2014」 環境省

◆環境省が去年、マニュアルにまとめた、簡単な見極め方があります。

◆まず、熱中症らしい症状があった人が、意識を失ってしまっていたら、これは勿論、救急車を呼ばなくてはいけません。
救急車を待つ間に、涼しい場所に運んで体を冷やしてあげます。

◆意識がある場合も、まず涼しい場所に行って体を冷やします。
衣服をゆるめて、太い血管が通っている首筋や脇の下、足のつけ根などを冷やすと効果的です。濡らしたタオルや、保冷剤などがあるとなおいいですね。

◆次のチェックは、自力で飲み物がちゃんと飲めるかが一つの目安です。
手に力が入らないとか、フラフラして水分が摂れないようなケースは、かなり症状が重いので、医療機関に急ぐ必要があります。
他にも普段と様子が違ったり、状態が悪い場合は受診して下さい。

◆そして、水分・塩分を摂って、症状はよくなったでしょうか?
改善しない場合は医療機関に行きましょう。
 
岩渕: 周りの人が熱中症になったときのために、こうしたことを知っておきたいですね

◆他にも、外出するときは日傘や帽子を忘れずに。
◆日中だけでなく夜間・寝ているときに熱中症を起こすケースも多いですから、高齢の方、寝苦しい熱帯夜などは、なるべくエアコンを使うようにして下さい。

twitterにURLを送る facebookにURLを送る ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

キーワードで検索する

例)テーマ、ジャンル、解説委員名など

日付から探す

2016年06月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
RSS