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くらし☆解説 「迷惑な訪問・電話勧誘販売への対策は?」

今井 純子  解説委員

きょうのテーマはこちら。「迷惑な訪問・電話勧誘販売への対策は?」
今井解説委員です。
 
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Q)私も、よく、電話で投資を勧められて、迷惑と感じることがあります。

A)迷惑ですよね。でも、今、政府の検討会で、こうした突然の電話や訪問による勧誘を、もっと厳しく規制できないか、検討が始まっています。というのも、こうした勧誘は迷惑なだけでなく、トラブルになったり、深刻な被害につながったりするケースも後を絶たないからです。
 
Q)どのような被害が起きているのですか?
 
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A)例えば、訪問販売では、
▼ 高齢の母親が、使いきれないほどの羽根布団やかばんなどを次々買わされてしまった。
▼ 事業者に、このままだと危険だと言われて、まず、屋根の工事をしたら、次に、床下、台所と、結果的に必要でない工事をさせられた。
 
Q)電話勧誘は?

A)最近多いのが、
▼ 健康食品を勧誘され、飲みきれないと断っても、次々、代金引換で、商品を送りつけてくる。住所を知られていて、こわいので、そのたびに、おカネを払ってしまっている。
▼ 投資を勧められ、おカネを払ってしまったが、その後、事業者と連絡がとれなくなった。
こうした被害です。
 
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こちらは、全国の消費生活センターに寄せられた相談の推移です。
 
Q)赤い線が、家庭への訪問販売。そして、緑の線が電話勧誘ですね。相談は、増えているのですね。

A)そうです。これまで、たびたび規制が強化されているのですが、減るどころか増えています。特に被害が深刻なのは、認知症などで十分な判断ができなくなった高齢者の被害です。
被害の額が膨れ上がっているのに、本人は、気がつかないケースもあります。
 
Q)すると、もっと被害は多いかもしれないということですね。

A)そうなのです。この数字は、氷山の一角だという指摘もあります。
 
Q)特に、弱い立場の人に付け込んで買わせるような、悪質な事業者については、これは、勧誘を禁止してほしいですよね。

A)悪質な事業者の勧誘は、禁止すべきだということについて、異論を唱える人は、ほとんどいないと思います。
 
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ただ、難しいのは、事業者と一言で言っても、布団や健康食品を扱う事業者から、新聞やクルマ、それに、日用品を宅配したり、移動販売に来たりする事業者が、ついでに近所の人を勧誘するケースまで、様々です。誰が悪質で、誰が悪質でないのか。人によって受けとめも様々で、一般的な線引きが難しいのです。
 
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一方、こちらをご覧ください。突然の訪問や電話による勧誘について、どう思うかを聞いたアンケートの結果ですが、それぞれ、96%を超える人たちが「きてほしくない」と答えている。「便利だ」とか、岩渕さんが言ったように、「どのような商品・サービスか、場合による」と答えた人は、あわせても4%に達していないのです。
 
Q)悪質かどうかに関わらず、いやだという人が圧倒的に多いということですね。

A)そうなのです。このため、政府の検討会では、消費者側の委員から、悪質かどうかにかかわらず、消費者側が要請していない勧誘という行為じたいを、もっと厳しく規制すべきではないかという意見が出て、先週、海外の例を参考に、いくつか、制度が紹介されました。
まず、電話勧誘については、
▼ こちらは、原則、禁止という制度。消費者側が、あらかじめ勧誘していいですよと、店や事業者に伝えていない限り、ダメということです。これは、ドイツやオーストリア、デンマークで実際に導入されています。
 
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Q)こちらの「お断り制度」とは?

A)せめて、勧誘を受けたくないと、あらかじめ意思を示している人には、勧誘してはいけないという制度です。アメリカやヨーロッパ、アジアの多くの国で導入されています。
 
Q)かなり多くの国で導入されているのですね。でも、どうしたら、勧誘はイヤだと、意思を示すことができるのですか?

A)「あらかじめ、政府機関などに、自宅や携帯の電話番号を登録しておくと、その番号に勧誘の電話をした事業者は罰せられる」という、電話勧誘お断り制度があるのです。
 
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例えば、パソコンや、携帯端末から、この番号には、勧誘の電話をしないでほしいという番号を登録します。そうすると、登録先では、拒否リストができます。事業者はそれを見ることができ、リストに載っているにも関わらず、電話をすると、罰金がかかる。こうした仕組みです。
 
Q)でも、それだと、「自分で断り切れない人だ」ということで、かえってリストが悪用される心配はないのですか?

A)そのような心配もありますよね。このため、例えば、韓国やシンガポールで、導入されている仕組みは、こちら。
 
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消費者側が、電話をかけてほしくない番号を、登録機関に登録するところまでは同じですが、今度は、事業者の側が、「これから勧誘をしたい人」の電話番号リストを登録機関に送ります。そうすると、拒否リストに載っている番号が削除されて、「電話してもいい人」のリストとして、戻ってくる。こういう仕組みをとっています。
 
Q)そうすると、勧誘を受けたくないという人には、電話ができないということですね。

A)そうですね。
▼ また、保険や新聞など、特定の商品やサービスを、規制の対象からはずしている国や
▼ 消費者の側が、登録をするときに、「この分野は拒否だけど、この分野は勧誘をうけてもいい」と、選択できる仕組みをとっている国もあります。
 
Q)訪問販売は、どのような制度があるのですか?

A)訪問販売を原則禁止にしている国は、今のところ、見当たりません。
実際に、あるのは、こちらも「勧誘お断り制度」です。オーストラリアやルクセンブルグ、さらに、アメリカの自治体などで導入されています。
 
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Q)こちらは、どうやって、いやだという意思を示すのですか?

A)電話勧誘と同じように、訪問販売には、来てほしくないという人が、住所を登録機関に登録するという仕組みのほか、
「訪問販売お断り」のステッカーを家の玄関や門のところに貼っておく。それを無視して訪問販売をした事業者は、罰金が科せられる。こうした仕組みもあります。
 
Q)私は、いい制度だと思います。日本での導入の見通しは?

A)そう簡単ではありません。事業者側の委員は、
▼ ビジネスの大きな制約になりかねない。
▼ 先ほども触れた、日用品を宅配したり、移動販売したりする事業者が、ついでに勧誘をするようなケースまで禁止すると困る人もでてくるのではないか。
として、勧誘じたいの規制を強化することに、強く反対しているからです。
 
Q)どう考えればいいでしょうか?

A)地域で本当に必要とされている商品やサービスがあれば、別の勧誘の方法があるはずですし、別途対応を考えることもできるはずです。少なくとも、悪質かに関わらず、96%の人が、勧誘を受けたくないと言っているわけですから、その声にこたえる何らかの対策をとることは避けて通れないと思います。政府は、ぜひ、消費者目線で、制度の検討をしてほしいと思います。

 

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