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くらし☆解説 「個人情報保護法改正でプライバシーは守れるか」

三輪 誠司  解説委員

今日のテーマは、「個人情報保護法改正でプライバシーは守れるか」。三輪委員です。
 
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Q 個人情報保護というと、去年も流出事件がいろいろありましたね。

A 特に大きな問題になったのは、やはりベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件でした。個人情報の保護をもっと厳格にしていかないといけないという社会的な機運を盛り上げたと言えます。この事件では、内部関係者がおよそ4800万人分の個人情報を売却していました。そして、この情報は名簿業者の間で繰り返し転売されていました。おわびの文書が届いたというご家庭も多かったのではないでしょうか。
 
Q 個人情報保護法が、こうしたことにストップをかけることができなかったのかと思ってしまいますね。

A そしてこの事件をきっかけに、個人情報保護法を厳しくするべきだということになりました。年末には法律の改正案の骨子が公表されましたが、この骨子についても妥当かどうか意見が分かれているんです。
 
Q どのように改正されるんでしょうか。
 
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A まず、企業の社員が、個人情報を不正に持ち出すなどの行為は禁止され、処罰の対象になります。名簿業者などが個人情報を入手する際も、その情報が不正なものでないことを確認することや、購入記録をつけて、一定期間保存することが義務付けられます。情報を転売する時も、同じように記録し、一定期間の保存が義務付けられます。さらに、犯歴・病歴、人種、信条など、差別や偏見につながるおそれのある情報は、その本人が同意しない限り売買が禁止されることになります。
 
Q いろいろな保護対策が取られるようですね。

A 確かに一歩前進したといえると思います。しかし今も意見が対立している点があるんです。それは利用目的の変更が容易になることなんです。
 
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たとえば、インターネットで店から買い物をしようとします。名前や住所などの個人情報を入力しますが、ホームページには「個人情報は第三者に売ったりしません」と書いてあったとします。
 
Q これならば、安心して入力できますね。
 
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A ところが、「この利用方法は変更することがあります」と書いておくと、集めた後で名簿業者などに売却することができるようになるんです。店側は、売却することに変更した時、売却先や、売却することをやめてほしい場合の手続きをホームページなどで表示した上で、新たに設置される第三者機関にもその内容を届ければいいとしています。

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Q 消費者は、自分の個人情報が売却されることになったのか、どうやったら知ることができるんですか。

A 情報を提供した店などのホームページを見続ける。または店から届くお知らせの電子メールに注意しておくということになります。
 
Q どうしてこんな規定を盛り込もうということになったんですか。

A 実は、個人情報保護法ついては、企業側と消費者団体が違った方向の改正を求めていたからなんです。

企業側は、制限の緩和を求めてきました。利用目的の変更を容易にすることについては、個人情報を集める時には想定していなかったサービスを編み出すことになり、「イノベーション」。つまり産業の革新をもたらすために欠かせないとしてきました。そして、成長戦略とされているビッグデータの活用を促すためには、個人情報の利用制限をなくすよう求めていました。そして、個人情報の利活用は、企業が利益を得るためだけではなく消費者が喜ぶサービスにつながっていくとして、制限の強化には反対してきました。
 
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それに対して、消費者団体は、制限の強化を求めていました。「消費者は企業が思っているよりもプライバシーに敏感であり、今の制度は緩すぎて、国民感情とずれている」と訴えてきました。
そして、個人情報は、その本人ものであるとして、「売買などは本人の同意を得たものに限るべきだ」と訴えてきました。さらに、「利用目的を容易に変更できるようにする」ことについては、「個人情報を収集する目的を明確し、利用はその目的に合致するべきである」という原則を盛り込んだOECDのプライバシーガイドラインにも反するとして、専門家も含めて強く反発しています。
 
Q 法案の審議はどのように進むのでしょうか。

A 今後、具体的な改正案の条文が検討され、2月に国会に提出される見通しです。個人情報をどう保護するかは、立場によって意見が異なります。だからと言って、あいまいな規定にしてしまうと、制度の乱用や、逆に過剰反応を引き起こすということは、現在の個人情報保護法の運用を見ても明らかです。議論を続けてきた制度改正が期待外れに終わらないよう、納得できるしくみを検討してほしいと思います。

 

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