解説アーカイブス これまでの解説記事

くらし☆解説

twitterにURLを送る facebookにURLを送る ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

くらし☆解説 「生活道路を安全に!」

寒川 由美子  解説委員

きょうは生活道路を安全にというテーマで、寒川解説委員とお伝えします。
 
kkk141203_00mado.jpg

 

 

 

 

 

 

Q生活道路とは、私たちの暮らしに身近な道路のことですね。

Aはい。住宅地の中の道路や通学路など、私たちが普段歩いたり自転車に乗ったりして利用している道路のことです。
幅はだいたい5.5メートル未満で、歩道と車道の区別がないとか、中央ラインがないような狭い道路が多いんです。
 
kkk141203_01.jpg

 

 

 

 

 

 

Q当然、子どもからお年寄りまで、いろいろな人が利用するということですね。

Aはい。ところが、この生活道路で、スピードを出し過ぎたり進入禁止のところに入ってきたりする車に巻き込まれる事故が、いま問題になっているんです。
 
Qどういうことですか?

Aこちらをご覧ください。
 
kkk141203_02.jpg

 

 

 

 

 

 

 

交通事故件数の推移なんですが、幅が広い、幹線道路などでの事故は、ここ10年で70万件あまりから45万件と、大きく減っているのに対し、生活道路での事故はあまり減っていないんです。
 
kkk141203_03.jpg

 

 

 

 

 

 

また、事故で亡くなる人は、去年はおよそ4000人と、やはりこの10年で半数近くに減ったんですが、歩行者と自転車の人は減らず5割を占めています。
車に乗っている人は、シートベルトの着用やエアバッグの普及で守られるようになってきた一方で、歩行者などが犠牲になる事故がなくならないんです。
通学路で子どもが巻き込まれる事故も多く、ことし9月には、東京・世田谷区で下校中の小学生3人が軽トラックにはねられ、9歳の女の子が亡くなりました。
こうした登下校中の事故、今年に入って1400件以上にのぼり、7人の小学生が亡くなっています。
 
Q痛ましいですね。どうして生活道路での事故が減らないんですか?
 
kkk141203_04.jpg

 

 

 

 

 

 

A実は、幹線道路などでは、事故が多発する地点が、警察や国の調査でだいたい特定できたんです。
そこで、事故が多い交差点やカーブなどでは、ここ10年ほど、集中的に対策がとられてきました。
例えば右折専用の信号機を設けるとか、カーブに目立つ標識をたてるとかです。
その結果、効果があらわれ事故が減ったんです。
 
kkk141203_05.jpg

 

 

 

 

 

 

ところが、生活道路は見通しの悪い交差点だらけで、事故が起こる地点もばらばらで特定が難しい。
また、通学時間帯は通行禁止にしている通学路も多いんですが、警察が今年9月に全国の通学路で取締りを行ったところ、通行禁止を無視する違反が一日で4000件以上にのぼりました。ルールを守らないドライバーが多い実態が分かったんです。
さらには抜け道として利用するドライバーがいるのも事実で、世田谷の事故の道路も抜け道になっていました。
そうした結果、生活道路での事故がなかなか減らないんです。
 
Q抜け道に利用する車が速度を落とさずに走ると危ないですよね。

Aはい。こちらをご覧ください。
 
kkk141203_06.jpg

 

 

 

 

 

 

車が歩行者に衝突した時の速度と、歩行者の死亡率の関係を示したグラフです。
時速30キロを超えると死亡率がぐんとあがってしまうのです。スピード違反をなくせば、死亡事故を3割減らすことが出来るという推計もあります。
 
Qでは、歩行者が多い生活道路では30キロ以下に抑えることが重要なんですね?

Aはい。
ただ、日本はヨーロッパなどと違って、生活道路と幹線道路が入り組んでいます。そこで、道路という線ではなく、住宅地という面でとらえて、速度を30キロ以下に規制するという「ゾーン30」の指定が3年前から始まりました。
 
kkk141203_07.jpg

 

 

 

 

 

 

Qゾーン30?
 
kkk141203_08.jpg

 

 

 

 

 

 

A緑で囲った地域内の道路は全て30キロ以下に規制するんです。
このように、入口に標識をたてたり、道路に色を塗ったりして、ドライバーに知らせています。最近ではカーナビも、ゾーン30の道路は抜け道として表示しないようになってきました。
 
Q効果は?

A埼玉県で行われた調査では、指定地域では人身事故が2割減りました。
ゾーン30は、いま全国で1000カ所あまり指定されていますが、国は平成28年度までに3000カ所程度に増やしたいとしています。

さらに、ゾーン30では、物理的にスピードを抑えようという対策も進められています。
 
Q物理的にスピードを抑える?

Aはい。いくつかご紹介します。
<VTR>
こちら、道路の一部を盛り上げて段差を作る。「ハンプ」と呼ばれるもの。
これによってドライバーは自然にスピードを落とします。段差がなだらかなので騒音も起きにくいとされています。
つくば市で行われた実験では、平均速度が40キロから30キロにダウンしました。
それから道路脇にポールをたてて、道幅を狭くすることでスピードを落とさせる方法もあります。

一方、一定の時間、物理的に通行止めにする手段もあります。
新潟市が去年からアーケードの入口に設置した、昇降式のくいです。
通行止めの時間がくると自動的に上がるしくみで、ヨーロッパでは一般的なんですが、日本ではここが初めてです。
うっかり入ろうとする車も、くいを見て引き返しています。
中には、くいにぶつかってしまう車もあるんですが、くいはゴム製なので、柔らかく折れ曲がります。ヨーロッパでは鋼鉄製が普通なんですが、日本ではまだ普及していないので、けがなどしないようにゴム製にしているんです。
新潟市によりますと、くいの設置前は、違反して進入する車が1週間に100台以上ありましたが、設置後、違反はなくなったということで、今後、通学路などにも設置していきたいとしています。
 
Qこうした対策を進めることで、事故はなくなるんでしょうか?

A対策にはそれなりの効果はありますが、やはり最後はドライバーのモラルにかかってきます。ルールを守らないドライバーがいる以上、ある程度の取り締まりも必要です。
ところが、生活道路でのスピード違反の取り締まりは、これまであまり行われてきませんでした。
 
Qなぜですか?

A取締りには、スピードを検知してから車を誘導する場所など、一定のスペースが必要なんですが、住宅地の中では、なかなかスペースを確保できません。
また、幹線道路についている自動速度取締り機、オービスも大型なので、生活道路への設置は難しい。
そこで、警察が先月から試験的に運用を始めたのが、小型のスピード違反取り締まり装置です。
 
kkk141203_09.jpg

 

 

 

 

 

 

3種類あって、いずれも海外から取り寄せ、埼玉県内で運用されています。
固定式の装置は、スピード違反の車に対して事前に警告のライトがつき、それでも従わない場合はカメラが撮影します。
移動式は2種類。ひとつはカメラとフラッシュが別々になっていて、三脚で固定して使います。人が持ち運びできる軽さで便利なんですが、見張っていないと持ち去られてしまう恐れがあるのが難点です。
もうひとつは、カメラとフラッシュが一体になっています。重さが500キロあるので持ち去られることはなさそうです。
警察ではそれぞれのメリットや課題を検証し、住民にも意見を聞いた上で導入を目指すとしています。

ただ、規制や取り締まりは、あくまでも手段であって、本来の目的は事故防止です。ですからそのことをきちんと理解してもらえるような取り組みが警察や国には求められると思います。
例えば、スピード違反をした人に、速度と死亡率の関係を記したチラシを配ってスピード違反の危険性を伝えることなどが考えられると思います。
 
Q私たち自身に出来ることはなんですか?

Aまず歩行者の立場からいいますと、車の前に急に飛び出すなど歩行者側に原因がある事故も3割にのぼります。身を守るためには、ルールを守る、歩きながらスマートフォンを使うなどの危ない行為はやめるというのが大切です。
またドライバーとしては、スピード違反で反則切符を切られるのが嫌だからではなく、自分にとっても人にとっても危険がないようにルールを守るという意識で事故をなくしていくことが大切だと思います。
 

twitterにURLを送る facebookにURLを送る ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

キーワードで検索する

例)テーマ、ジャンル、解説委員名など

日付から探す

2016年04月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
RSS