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くらし☆解説 「平和賞 児童労働をなくすために」

広瀬 公巳  解説委員

(マララ・ユスフザイさん)
「こどもには権利があります。良い教育を受ける権利、児童労働を強制されない権利、
 幸せな人生を送る権利があります。」

くらし☆解説、岩渕梢です。
きょうは、「平和賞 児童労働をなくすために」というテーマです。
担当は広瀬公巳(ひろせひろみ)解説委員です。
 
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Q 今年のノーベル平和賞はパキスタンとインドの二人が選ばれましたね。

二人は「子どもが教育を受ける権利」を訴え続けてきました。
17歳のマララさん。
「ひとりの子ども、一本のペンが世界を変えることができる」という
国連での有名な演説をご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのマララさんのテロに屈しない「勇気」と、
子どもたちに教育を受けさせるために
自らの危険を顧みず強制労働の現場から子どもたちの救出活動を続けてきた
インドのカイラシュ・サティヤルティさんの「長い実績」が評価された形です。
今、世界各地のすべての子どもたちをテロや紛争から難しいのが現状ですが、
子供たちから、学ぶ場を奪っている最大の障害である
こちら「児童労働」から解放するのは、
「やる気しだい」だと今回受賞した二人は訴えています。
そこできょうはその「児童労働」について詳しく見ていきたいと思います。
 
Q まず児童労働というとどのようなものがあるのでしょうか。
 
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私が現地に駐在していたころにも問題になっていたのがサッカーボールです。
サッカーボールの多くは、今回の二人の平和賞の受賞者の母国の
インドとパキスタンの国境付近でそのほとんどが作られてきました。
その理由は、もともと刺繍や手織り手工業が発達していたこの地域に
イギリス向けのボール製造が定着したこと。
この地域に牛の皮を扱えるイスラム教徒が多かったという事情もありますが、
貧しい家庭の家内工業で安く作れたことが大きな要因です。
その担い手となってきたのは子供たちです。
小さく器用な子供の手が生産のために使われてきました。
しかし長時間の労働は過酷なもので、勉強時間や遊ぶ時間、
つまり子どもの時間を奪ってきました。
こちらは実際に皮を張り合わせていくための道具です。
このような硬い皮に針を通す危険な仕事です。
 
Q 大人でもけがをしそうな作業ですね。

今回、平和賞を受賞したサティヤルティさんは、
目が不自由なのにサッカーボールを作らされていたインドの少女とともに来日もして
この児童労働の悲惨さを訴えてきました。

そうした運動の成果もあって
サッカーボールの場合、児童労働は減ってきたといわれています。
児童労働など不当な搾取が行われていないことを示す
フェアトレードのマークが入っているものもみられるようになりました。
 
Q サッカーボールのほかにはどんな労働があるのですか。
(VTR)
児童労働が問題となっている現場のひとつが綿の摘み取りなどの農作業です。
最近は遺伝子組み換えの技術のために受粉にも人出が必要で
子供が駆り出される機会が増えています。
 
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児童労働の現場は農作業、工業製品の下請けなどさまざまです。
現在世界では、1億6800万人。
9人に1人の子供が児童労働に従事させられています。
おもに5歳から17歳の日本だと学校に行っている年齢の子供たちです。
注意していただきたいのはこの数は、働いている子供の数ではありません。
児童労働という言葉は、働くことによって教育の機会を奪われている子供のことで、
最近では危険な作業や、強制徴用された戦場の兵士など、
「最悪の形態」と呼ばれる児童労働の問題も深刻化してきているということです。
こうした世界の実情はあまり知られていません。
 
Q どうやって知ることができるのですか。
 
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こちらは谷川俊太郎さんの詩をのせた絵本です。
児童労働の実態をわかりやすい絵で説明しています。
はじめの部分をご紹介したいと思います。
 
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「チョコレートのもとになるカカオ豆。
 その多くは日本から遠いアフリカで作られています。
 西アフリカにあるガーナは、赤道近くの暑い国。
 そこには学校に通うことができず、
 朝から晩まで働き続ける子どもたちがいるのです。」
 
Q 本で知るという方法があるんですね。

最近では、児童労働のマイナスのイメージに敏感な消費者も増えてきていますので、
日本の大手の菓子メーカーの中にも
生産地のこどもを支援することを積極的にPRして
チョコレートを発売する動きも出ています。
 
Q 児童労働を減らしていくために私たちにもできることはあるのでしょうか。

現地でこどもの教育のためにボランティアをする、
支援団体を通じて寄付をする、といったことがありますが、
そのほかにも日本にいる私たちでもできることがあります。
 
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1.児童労働が行われていないことを示す表示などを探して見る。
2.産地や、製造法などについて詳しいお店の人に聞いてみる。
3.サッカーボールや綿の摘み取りのほかにどんな児童労働があるのか
自分で関心を持って調べてみる。
など、自分でできる範囲でやってみることから始められるのではないでしょうか。
 
Q 児童労働に反対していくためにはどうすればいいのでしょうか。

児童労働にはっきりと反対の意思表示をしたい人のための方法をひとつご紹介します。
「REDCARD TO CHILD LABOUR」
児童労働へのレッドカードです。
 
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このように、レッドカードを掲げた写真を
FACEBOOKやTWITTERにアップするキャンペーンが
毎年6月前後に行われています。
ILO・国際労働期間が中心になって行っているもので世界各地に広がっています。
 
Q インターネットの力を使うのですね。

マララさんのことを思い出してほしいのですが、
マララさんの戦いの舞台はインターネットでした。
イスラム過激派が教育の権利を奪っているとブログで訴えました。
「児童労働」に反対するマララさんの原点は、
女の子への脅迫に対する非暴力の抵抗です。
受賞後のマララさんの会見をお聞きください。

(マララ 受賞)
「私には二つの選択肢しかありませんでした。
一つは、声を上げずに殺されること。もう一つは、声を上げて殺されること。
私は後者を選びました。」

大変、迫力のある言葉だと思います。
マララさんを襲ったパキスタンのイスラム過激派は
中東のイスラム国に合流する動きも伝えられています。
世界の各地でイスラム過激派の戦闘員の多くがインターネットでの宣伝に洗脳され
暴力がインターネットで拡散しているといわれます。
そうした中だからこそ、
教育を受けたいという「1人の子ども」のブログからはじまった発信が
問いかけていることの意味は大きいと思います。
 

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