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くらし☆解説

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くらし☆解説 「デング熱 感染を防ぐには」

谷田部 雅嗣  解説委員

先月、突然、東京都心にある代々木公園で、熱帯の感染症であるデング熱の流行が確認されました。
原因はデングウイルス。
ウイルスを媒介するのは、木陰などに潜むヒトスジシマカ。
つまりヤブカです。
他の公園などでも蚊の駆除が行われています。
どうやって防いだら良いのでしょうか。
 
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くらし☆解説、テーマは「デング熱 感染を防ぐには」。
担当は谷田部雅嗣解説委員です。

Q:現在の状況は

 
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国内でデング熱の患者が確認されたのは凡そ70年ぶりです。
今回、最初に患者が確認されたのは、先月27日でした。
東京渋谷にある代々木公園や周辺を訪れ、デングウイルスを持った蚊に刺されたのが原因と考えられ、その数は現在85人。
また、新宿の中央公園で蚊に刺されたと思われる患者が一人。
明治神宮外苑か外堀公園で蚊に刺されたと思われる患者が一人確認されました。
ウイルスの遺伝子を分析した結果、東京で確認された87人は、同じウイルスが広がったものと考えられます。
昨日、千葉県で1人が確認されましたが、自宅の近所しか歩いたことがないということです。
つまり、自宅周辺でウイルスを持った蚊に刺されたということになります。
現在、千葉で確認された患者のウイルスの分析が行われていて、結果は重要な意味を持ちます。
同じウイルスなら、代々木公園で感染した人が、千葉で蚊に刺されて感染が広がったことになります。
東京のものと違うとなると、複数の感染源があるということになります。
いずれにしても、同じことが全国で起きる可能性が出てきました。
 
Q:どうして東京の代々木公園で多くの患者が出たのでしょうか

海外から入り込んだウイルスが拡がったんです。
海外でデング熱が流行しているのは100カ国以上。
熱帯地方が中心です。
年々流行は拡大する傾向にあります。
こうした流行地で感染して日本に入国した人が、日本で発病して、デング熱患者として確認されています。
 
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患者は、年間200人ほどいます。
年々、増える傾向にあります。
デングウイルスも一緒に入り込んでいるわけです。
直接、人から人へは感染しませんが、これをヒトスジシマカが媒介したわけです。
 
Q:ヒトスジシマカというのはどんな蚊なんですか
 
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夜、家の中で「ブーン」と飛んでいるのはアカイエカ。
ヒトスジシマカは南から東北地方まで広く生息しています。
活動するのはアカイエカの夜に対して、昼です。
デングウイルスはアカイエカや他の蚊の中では増えませんが、ヒトスジシマカの体の中ではどんどん増えます。
このヒトスジシマカが人の血を吸うときにデングウイルスの感染が起きるわけです。
血を吸うのはメスだけ。
卵を成熟させるためです。
日中、木陰の葉の裏や、草むらなどに潜んでいます。
人が4メートルから5メートルの距離に近づくと、一斉に、血を吸うために集まります。

ヒトスジシマカに刺されたことがある人は分かると思いますが、一度に何か所も刺されるんですね。
(患者の中には40か所以上という人もいた)
公園のベンチなどは日差しを避けて、樹木の下や、草むらのそばに置かれていることが多い。
ゆっくりと座って、雰囲気を満喫すると、大量の蚊に刺されることもあるというわけです。
 
Q:代々木公園では感染はどのように起きたんでしょう

代々木公園に海外でウイルスに感染した人が来たとします。
潜伏期間なら良いのですが、症状が出始めると血液の中にたくさんのウイルスが作られます。
この人が、ヒトスジシマカが待ち伏せしている場所に来たとしましょう。
ヒトスジシマカが一斉に血を吸います。
血液の中にはたくさんのデングウイルスがいます。
吸血した蚊の体全てに侵入することになり、ウイルスを媒介する蚊が、大量に出現します。
 
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患者が歩き回ったり、長時間滞在すると、また刺されて、さらにウイルスを持った蚊が増えます。
刺されたヒトスジシマカの中に、一匹でもウイルスを持っていると、感染してしまいます。
ヒトスジシマカの寿命は30日から40日といわれています。
その間、人を刺してはウイルスを広げてゆくことになります。
 
Q:デング熱とはどんな病気なのか
 
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痛みが特徴です。耐えられないような痛みです。
治療薬や実用化されたワクチンはありません。

感染後、潜伏期間は3日から7日間程度。
感染した人の中で病気になるのは1割とも2割ともいわれ、感染したからといって必ず病気になるわけではありません。
 
Q:症状は

何の前触れもなく、突然、高い熱が出ます。
耐えきれないような激しい頭痛、耐えきれないような関節や筋肉の痛みや、おう吐や、食欲不振も起きます。
 
Q:デング熱だというのはすぐにわかるのか

激しい痛み。高い熱。
風邪やインフルエンザなどとは明らかに違います。
こうした症状が出たら、医療機関を受診して確認して、治療を受けなくてはいけません。
食欲がなくなり、衰弱が激しくなる場合もあります。
入院し、点滴などが必要になる場合もあります。
まれに、デング出血熱として、出血などをともなう重症事例もあります。

適切に治療を受ければ、命の危険は低いとされています。
 
Q:私たちが出来る対策は

心配な場合は、まずヒトスジシマカに刺されないようにすることです。
肌の露出をさけること。
外に出て、木陰や草むらを歩く際には、長袖、長ズボン。
それでも露出する部分には虫よけ剤やスプレーなども効果が期待できます。
目に入らない方がよいので、顔には手にとって塗るようにします。
耳とか首筋も刺されやすいので、忘れないようにします。
 
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ただし、全てのヒトスジシマカがウイルスを持っているわけではなく、ほんの一部です。
神経質になりすぎない方がよろしいです。
 
Q:いつ頃まで警戒しなくてはいけないんでしょうか

ヒトスジシマカは南の沖縄などを除けば、10月下旬になると成虫はいなくなります。
流行が続いていたとしても、この時期には収束します。
今回の教訓は蚊が思わぬ病気を媒介することが改めてわかったことです。

ヒトスジシマカの駆除をしておくことは、生活環境の改善とともにデング熱が広がるリスクも減らすことができます。
 
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ヒトスジシマカは小さな水たまりに卵を産みます。
身の回りから、空き缶や植木鉢の皿など、水のたまりやすい場所から水をなくすこと。
雨水桝なども産卵場所です。
ときどき幼虫駆除剤を投入するなどの方法があります。
地域で協力して取り組まないと効果は上がりません。
 
Q:日本では治まっても、海外では流行しているわけですね

海外の流行地に出掛ける際には、蚊に刺されないように、先ほどの様な対策が必要です。
感染のリスクを下げます。
感染して日本にデングウイルスを持ち込まないこと。
それが、個人をまもり、日本で流行が起きないようにすることにつながります。

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