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くらし☆解説 「手出しはダメ!脱法ハーブ」 

寒川 由美子  解説委員

【前説】
きょうは脱法ハーブの危険性について寒川解説委員とお伝えします。
 
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【岩渕】
寒川さんは警視庁の担当などとして脱法ハーブの取材を続けてきました。
先週(6月24日)東京・池袋で起きた事件のように、最近、脱法ハーブを吸った後、車を運転して事件・事故を起こすケース、よく耳にしますね。

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【寒川】
池袋で8人が死傷した事件では、逮捕された男は運転の直前に車の中で脱法ハーブを吸っていたとみられています。
同じように脱法ハーブを吸って車を運転し、事件や事故を起こしたケースは、去年38件にのぼりました。
今年に入ってからも、香川県で小学生がはねられて死亡したほか、福岡市で15人がけがをした事件などが、相次いでいます。
  
【岩渕】
正常な運転が出来ないほどの影響が出る脱法ハーブとは、どんなものですか。
 
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【寒川】
こちらが脱法ハーブといわれているものです。
ハーブといっても、料理に使うようなものとは全く違う。薬物なんです。
また、脱法といっていますが、覚醒剤や大麻などと同じような作用があり、使い始めるとやめられなくなる依存性もあるんです。
 
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脱法ハーブは、乾燥させた植物の葉っぱに、覚せい剤や大麻などに似せて人工的に作られた薬物をまぶしたものです。
これに、たばこのように火をつけて煙を吸ったりして使用されています。
これが1回分ずつパック詰めにされて数千円くらいで売られています。
どこで売られているかというと、繁華街の人通りの多い場所に専門の店があって、誰でも買うことが出来るんです。
「ハーブ」とか「お香」などと表示し、「違法ではない」と称して売られています。インターネットでも手に入れることが出来ます。
覚醒剤などと比べて値段が安く、危険性を知らずに軽い気持ちで手を出す人もいて、ここ数年、若者を中心に急速に広がっています。
しかし、覚醒剤や大麻に似た成分を含んでいますから、幻覚や妄想、意識障害などを引き起こす大変危険なものなんです。
 
【岩渕】
具体的にはどんな症状が出るんですか?

【寒川】
マウスを使った実験では、正常なマウスは元気に動き回っていますが、
脱法ハーブの成分を投与されたマウスは10分ほどで動かなくなってしまいました。
もうろうとした状態になる、異常行動です。
  
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マウスの脳神経細胞の画像です。
左は正常なもの、右は脱法ハーブの成分を加えたものです。
正常なものに比べて、脳の神経がずたずたに切断され、細胞が死滅しているのがわかります。
実験を行った研究所によりますと、人間でも同じような影響が出る恐れがあるということです。
さらに、呼吸困難などを起こして、救急車で病院に運ばれる人も多く、中には死亡する人もいるということです。
  
【岩渕】
そんな危険なものが、規制されていないんですか?

【寒川】
急激に広がってきた脱法ハーブの乱用に歯止めをかけようと、国も規制の強化に乗り出しています。
脱法ハーブを、規制の対象となる「指定薬物」に指定して取り締まるんです。
 
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以前は指定薬物を製造したり販売したりすることだけが禁止されていたのですが、それに加えて、この4月から、購入したり持ったり使ったりすることも禁止されました。違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

指定薬物に指定する方法も変えました。
 
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例えば、脱法ハーブに含まれる、このような化学構造の薬物を指定薬物として規制したとします。 
以前は、ほんの少し構造が違うと、規制できなかったんです。
それを、去年、「包括指定」という制度を導入して、似たような構造のものを、まとめて規制できるようにしました。
 
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イギリスなどで行われている制度にならったわけなんですが、これによって、2年前に68種類だった指定薬物は、一気に1300種類以上に増えました。
 
【岩渕】
規制強化されたのに、出回っているんですよね。なぜですか?

【寒川】
残念ながら、ある薬物を規制しても、すぐに化学構造を少し変えて、規制をすり抜ける新たな薬物が登場するという、「いたちごっこ」が相変わらず続いているんです。
池袋の事件で容疑者が吸っていた脱法ハーブも、まだ規制されていないものでした。

そして、これが恐ろしいんですが、新たに登場する脱法ハーブ、最近は、より危険なものになっているというんです。
 
【岩渕】
どういうことですか?

【寒川】
何種類もの薬物を混ぜあわせた脱法ハーブが出回ってきているんです。
例えば、興奮作用がある薬物Aと、もうろうとした状態になる薬物B、さらに別の作用がある薬物C、こういったものを混ぜ合わせて作られた、得体の知れない脱法ハーブが出てきているんです。
これは、使う側がより強い刺激を求めるようになってきているから。
こうやって出来た脱法ハーブは、どんな症状が出るのか、体にどんな影響があるのか、まったく分からない。
使う人は、自分の体で人体実験をしているようなものです。
専門家は、こうした最近の脱法ハーブは、覚醒剤などより毒性が強く、非常に危険だと指摘しています。
 
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【岩渕】
乱用に歯止めをかけるには、やはり取り締まりを強化するしかないのでは?

【寒川】
警察は、購入したり使ったりした人から、販売店へと摘発を進め、さらに製造しているところ、大もとの取り締まりにつなげたいとしています。
しかし、実は、脱法ハーブの原料となる薬物は、中国など海外の化学工場などで製造されているとみられています。
それを国際郵便や小包で国内に持ち込み、マンションや民家の一室で、植物とまぜて脱法ハーブが作られているんです。
 
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こうした国内の製造現場は捜査で摘発されてきているんですが、原料が入ってくるルートについては、まだほとんど捜査のメスは入っていません。
脱法ハーブは世界的に出回り、各国で大きな問題になっているんですが、比較的高い値段で取引されている日本が、海外から狙い撃ちされているという指摘もあります。日本がある薬物を規制すると、それを免れるような薬物が次々に作られているというんです。
海外の製造工場を直接、取り締まることは出来ませんから、例えば税関などとも連携して、水際で食い止めるといった対策、あるいは国内の製造現場の摘発を強化して、やはり、元を絶つような、取り締まりをしてほしいと思います。
 
【岩渕】
規制や摘発の難しさは分かるが、脱法ハーブがなかなかなくならないとなると、自分は手出ししなくても事故に巻き込まれることも考えられ、恐ろしいですよね。

【寒川】
まずは、規制されている・いないにかかわらず、脱法ハーブは大変危険なものだという認識を持つことです。自分の身にとっても危険ですし、人に危害を加えるおそれもあるということ。
とにかく絶対に手出しをしない、お子さんなど周りの人にもさせない、それが大事だということを、もう一度強調しておきたいと思います。
 
 

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