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くらし☆解説 「給食のアレルギー事故を防げ」

藤野 優子  解説委員

くらし☆解説です。きょうのテーマは、「給食のアレルギー事故を防げ」です。先週、文部科学省の有識者会議は、学校給食での新たな食物アレルギー対策をまとめましたが、これでアレルギーの事故は防げるのか、藤野解説委員です。

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Q1 食物アレルギーのあるお子さん、私の周りでもよく聞きますが、増えているんですか

A 小さい子どもに多いのだが、去年の調査によると、小中学生も増えていて、食物アレルギーのある児童・生徒は全体の4.5%。10年近くで1.7倍に。
 
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症状も様々・・。これらの症状が複数出るアナフィラキシーという状態になったり、さらに症状が悪化すると、血圧や意識が低下してきてアナフィラキシーショックを起こして命を落としたりすることもある。通常は食べて30分以内に症状が出てくるが、中には4時間ほど経って出てくる事もある。
 
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Q2 アレルギーの原因となる食材もたくさんありますよね。

A 多いのは卵、乳製品、小麦だが、これ以外にもある。
 
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中には、過去に大丈夫だったものでも、発症するということも。
それで、学校では、個別の症状に応じて、給食の一部を除いたり、代わりの献立を準備したりしている。
一方で、誤って食べてしまう事故も度々起きていて、中でも一年余り前、東京・調布市の小学校で、乳製品にアレルギーのあるお子さんが、給食で出たチーズ入りのチヂミを食べた後、アナフィラキシーショックを起こして亡くなるという大変悲しい事故が起きた。それで、文部科学省の有識者会議では、事故の再発を防ぐために、先週、学校給食の新たな食物アレルギー対策をまとめた。
 
Q3 どんな対策をまとめたのか。

A 柱は3つ。
ひとつは、食物アレルギーのある子どもの情報把握を徹底すること。主治医に「学校生活管理指導表」という書類に病状や治療内容を書いてもらって、保護者がそれを必ず学校に提出することとする。

次に、学校全体で事故防止策を見直し、緊急時の対応を強化すること。
これまで食物アレルギー対応は、栄養士や養護教諭に任せきりだった学校が多い。今後は校長を中心に学校全体で対応し、緊急時に備えたマニュアルづくりや研修も増やす。
そして、アナフィラキシーの経験のある子どもは、医師に「エピペン」と呼ばれる自己注射薬を処方されていることが多いので、それを、全職員が使用できるように、実践訓練に力を入れるとしている。
 
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Q4 エピペンはどういう効果があるのか?

A これは、安全キャップを外して、こう太ももに打つものだが、病院で診てもらうまでの間、アナフィラキシーの症状の進行を一時的に和らげて、ショックを防ぐもの。だが、これで症状が落ち着くわけではないので、打った後でも急いで病院にいかないといけない。
 
Q5 これで、本当に事故は防げるのか。

A 学校の先生は授業や生活指導で忙しいので、どこまで対応できるか。調布の事故後は、症状の重いお子さんの給食対応はできません、という学校も出てきている。
それできょうは、事故を教訓に対策に取り組んでいる調布市。ここはひとつの参考例になるので、見ていきたい。

まず調布市では献立を見直すことにした。一見して、アレルギー食材が入っているとわかるような献立にする。調布の事故のケースは、チヂミに入っていた粉チーズが原因になったが、チヂミにまさか粉チーズが入っているとは普通思わない。それが事故につながった要因のひとつとみて、例えばだが、グラタンやチーズトーストのように、外から見てアレルギー食材だとわかりやすい献立にすることにした。
 
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また、複数の職員や子どもたちも、どの子がアレルギー対応の給食になっているかわかるように、トレイや食器の色を変える。そして、調理師、栄養士、担任と複数の職員で確認できるように、アレルギー対応カードを貼りつけて、それぞれ確認したらチェックを入れていく。

この他色んな対策をとっているが、どこまでやってもミスが起きることはある。それで、アレルギーの子ども毎の個別の緊急対応マニュアルをつくり、先生たちがエピペンを打てるように定期的に講習会を行っている。
 
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Q6 しかし実際に注射を打つかどうか、学校の先生が判断するのは難しいのでは。

A 確かに。医師は、ほとんど副作用はないというが、薬なので副作用がでたらと躊躇することもあるだろう。ただ、調布の事故のケースでも、子どもが担任に気持ちが悪いと訴えてから、わずか14分で心拍が確認できない状態になった。とにかくわずかな時間での対応が必要。
それで調布市では、昨年9月から、隣接の大学病院の専門医と、市内の小中学校・幼稚園・保育所等との専用ホットラインをつくった。アナフィラキシーの疑いの子どもが出た場合、ホットラインで連絡をとって、注射を打っていいのか医師の判断を仰ぐ。そして、注射を打った全責任を教育委員会が持つと言っている。これが、先生たちの安心感にもつながっているそう。
 
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Q7 ここまで対応できる地域が増えてくると良いですね。

A いくつかの自治体でも調布と同じような取り組みをしようと準備を進めている。ただ、こうした取り組みを始めた調布市でも、新たな課題が出ている。新規発症、つまり、これまでアレルギー症状の出たことのない子どもが、アナフィラキシーの疑いのある症状を起こすケースが出てきている。
 
Q8 初めて症状を起こす子どもがいるんですか?

A そう。こういう子どもの場合は、学校側はいわばノーマークで、本人にエピペンも処方されていない。そうなると、それぞれの地域・自治体で、新規発症のケースにも対応できるように、学校と、医療機関や消防との連携のシステムを早くつくることが重要になっている。
 
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Q9 この食物アレルギーの問題は、学校以外の施設でもありますよね。

A  幼稚園、保育所、学童クラブなどでも、アレルギーの食材を誤って食べて救急搬送されたという例はいくつも起きている。食物アレルギーを恐れ過ぎずに、子どもを預かる全ての施設で、再発防止の体制整備を急いでほしい。

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