視点・論点 「鳥の巣が教えてくれること」2011年06月24日 (金)
画家・絵本作家 鈴木まもる
世界に鳥は、約9千種います。そのうち、日本で見られるのは、約6百種の鳥です。スズメのように、1年中、日本に住む鳥を留鳥といいます。ツバメのように、春、南の国から巣作りのためにやって来る鳥を夏鳥。ガンのように、晩秋、寒さをのがれるために日本に来る鳥を冬鳥と言います。日本で巣を作り、ヒナを育てるのは、留鳥と夏鳥です。しかし、南北に長い日本では、まれに冬鳥も日本で巣を作ることがあります。それら今まで、日本で巣を作ったと、記録された鳥を調べたところ、全部で259種の鳥達が、日本のいろいろな場所で巣を作り、新しい命を育てていることがわかりました。
視点・論点 「義援金の配分のあり方」2011年06月22日 (水)
関西学院大学教授 室﨑益輝
今回の東日本大震災では、海外からも含めて非常に多くの義援金が被災地に寄せられています。今日までに、義援金の受け皿である日本赤十字社、中央共同募金会、NHKに、約2500億円の義援金が寄せられています。この金額は、16年前の阪神・淡路大震災の時の最終義援金の総額を既に4割もうわまわるもので、わが国における史上最大の義援金が集まった、とういうことができます。
この「被災者を助けたい」という温かい思いのこもった義援金が、なかなか被災者に届かないという状況が、今回の震災では、残念なことに生まれています。日本赤十字社のホームページから義援金の配分状況をみると、6月17日現在で、被災者には義援金総額の18%にあたる454億円しか配布されていません。県から義援金の配分を受けながら、被災者に配分できていない市町村が、いまだに46も存在しています。
視点・論点 「朗読で知る名作の世界」2011年06月21日 (火)
軽井沢朗読館館長 青木裕子
きょうは「朗読の楽しさ」について、お話しさせていただきます、青木裕子です。私は37年間NHKのアナウンサーをつとめ、ちょうど一年ほど前に退職して、軽井沢に軽井沢朗読館を開きました。
NHKのアナウンサー時代に朗読の面白さに目覚め、ラジオ第一放送の「ラジオ文芸館」などで、朗読をしたり、朗読番組を作ったりする中で、やればやるほど朗読の世界の豊かさ奥の深さといった魅力にとりつかれて、これはもうライフワークにしようとおもったのが50代のころですから、そんなに昔のことではありません。
視点・論点 「ヨコハマトリエンナーレ2011 "OUR MAGIC HOUR"」2011年06月20日 (月)
横浜美術館館長 逢坂恵理子
東日本大震災は、アートの世界にも影響をもたらしました。余震や、放射能の影響で、海外からの作品が届かず、中止や延期となった展覧会も少なくありません。
このような状況のなか、ヨコハマトリエンナーレを予定通り開催すべきか、議論を重ねてまいりました。
しかし、国内外の参加アーティストからの積極的な参加の意思と、関係する皆様からの多くの応援をいただき、開催することになりました。
8月6日から11月6日の3ヶ月間、港町横浜を舞台に、現代アートの祭典「ヨコハマトリエンナーレ2011」が開催されます。
視点・論点 「大震災から3か月 復興計画の策定主体は市町村に」2011年06月17日 (金)
東京市政調査会理事長 西尾 勝
現在私が理事長を務めております財団法人東京市政調査会は、その当時東京市長であった後藤新平の提唱に基づいて、大正11年2月に創立され、初代会長には後藤新平が就任しました。ところが、その翌年の大正12年9月1日に関東大震災が勃発し、後藤新平はこの震災の最中に発足した山本権兵衛内閣に入閣、内務大臣・帝都復興院総裁として帝都復興に尽力することになりました。
このような経緯から、東京市政調査会に設けられている市政専門図書館には、後藤新平関係の図書資料を初め、関東大震災や帝都復興に関する図書資料が豊富に収蔵されております。
視点・論点 「大震災から3か月 国際社会と東日本大震災」2011年06月14日 (火)
国連人口基金東京事務所長 池上清子
東日本大震災から3か月が過ぎようとしています。
今回の震災が国際社会にどのようにとらえられているのか、国連機関で働く者の一人として、感じていることをお話してみたいと思います。
視点・論点 「大震災から3か月 巨大津波のメカニズム」2011年06月13日 (月)
地震予知連絡会会長 島崎邦彦
あの東日本大震災発生から3ヶ月が過ぎました。
被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。毎日の生活の不自由が少しずつでも少なくなるように、またあしたへの希望が次第に増えていきますよう、お祈りしております。
本日は、あの巨大津波についてお話ししたいと思います。
お話したいことは三つあります。第一に、津波の特徴について、第二に科学的にどのような予測があったのか、そして第三に、今後の課題についてお話しします。
視点・論点 「震災と自然/森と芸術」2011年06月10日 (金)
明治学院大学名誉教授 巖谷國士
今回の大震災については、いろんな見方ができますけれども、ひとつには、「自然」というものがあらわになった出来事だ、というふうに感じています。
震災のはじまった3月11日に、僕は、いま東京都庭園美術館でやっている「森と芸術」という展覧会のカタログの校正をしていました。この本です。
それで、森と人間との関係について考えていたために、震災をとくに「自然」の問題として見ることになったわけで、それをお話しようと思います。
視点・論点 「筑豊の作兵衛さん」2011年06月09日 (木)
福岡県立大学教授 森山沾一
5月25日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は福岡県筑豊の炭坑労働の様子などを独特の手法で表現した画家、山本作兵衛の絵画や日記697点が、「メモリー・オブ・ザ・ワールド」(通称・世界記憶遺産)に登録されたと発表しました。
日本の世界記憶遺産への登録は初めてのことです。
この知らせに私たちは「田川・筑豊の作兵衛さんが世界の作兵衛さんになった」と誇りに思っています。
人類が長い間記憶して後世に伝える価値があるとされる楽譜、書物などの世界記録遺産は、これまでに、フランスの人権宣言、ゲーテ直筆の文学作品・日記・手紙、アンネの日記、清朝時代の満州語による機密文書など76か国193件が登録されています。
視点・論点 「大震災と政治の責任」2011年06月08日 (水)
駿河台大学教授 成田憲彦
戦後最悪の自然災害である東日本大震災への対応の不十分さを理由に、自民、公明、たちあがれ日本の3党が、今月1日に菅内閣不信任決議案を提出して以降の政治のめまぐるしい動きは、ご承知の通りです。
大震災発生以降の菅内閣の対応に不十分な点があったことは確かですし、国民の不満の声にも大きなものがありました。しかし不信任決議案に関して各報道機関が行った世論調査で、最も多かった国民の意見は、いま政治が最優先で取り組むべきは、大震災への対応であり、菅内閣の退陣を迫ったり、解散総選挙を求めたりすることではないというものでした。
視点・論点 「パレスチナをめぐる国際情勢」2011年06月07日 (火)
防衛大学校教授 立山良司
今年初めから続いているアラブ世界の政治変動は、パレスチナ問題にも大きな影響を与えています。5月初めには、パレスチナの二つの主要な勢力、ファタハとハマスが統一政府を作ることなどに合意しました。ついでアメリカのオバマ大統領が中東情勢について演説し、今後の和平交渉の基本的な枠組みを提示しました。さらに5月末には、エジプトがガザ地区との境界を開き、ガザ封鎖が部分的ですが4年ぶりに解除されました。こうした一連の動きは和平交渉の進展につながるのでしょうか。
視点・論点 「"農"に生きる」2011年06月06日 (月)
農業 白石好孝
はじめに、今回の東日本大震災において、被災された皆さまには、心より御見舞申しあげます。
私は東京都練馬区で農業を営むものです。約40種類の野菜を生産し、農園で直接販売、学校給食、レストラン、JA直売所、スーパー等に直接出荷販売をしています。
今回の東日本大震災、福島県第一原発事故の問題を、一人の農業者として、農業を営む立場で考えて見たいと思います。
視点・論点 「犯罪被害から子どもを守る安全教育」2011年06月03日 (金)
日本こどもの安全教育総合研究所理事長 宮田美恵子
4月の入学シーズンから一か月が経過し、新一年生たちも学校に慣れ始めるころですが、通学路などでの安全確保についても、考えておく必要があります。犯罪被害から子どもを守る安全教育とは何かについて、私の視点をお話しします。
視点・論点 「復興の証 美しい風景の再生」2011年06月02日 (木)
日本花の会 主任研究員 和田博幸
染井吉野の蕾が膨らみ始めた三月十一日に三陸沖を震源とした国内観測史上最大の地震が起こりました。この地震による津波は、宮城県から岩手県を中心に広い範囲にわたって、沿岸地域に甚大な災害をもたらし、海岸線の美しい風景を崩壊させました。
私は樹木医という視点で被災地の樹木が、震災に対してどう機能したかを検証したところ、特に今回の地震では津波と樹木との関係がいくつか見て取れました。
視点・論点 「福島原発事故の放射線健康リスク」2011年06月01日 (水)
長崎大学大学院教授 山下俊一
平成23年3月11日未曾有の東日本大震災の惨禍により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。大地震、大津波に襲われた福島第一ならびに第二原発は、その後封じ込めの失敗と成功という異なる二つの運命をたどりましたが、事故の詳細と対応については、今後の検証を待たなければなりません。ここでは、放射線の正しい理解を『健康リスク』という視点から考え、事故後3ヶ月近く未だその収束が見えない渦中ですが、放射能環境汚染の地で、如何に健康管理と増進を図るかを論じたいと思います。
視点・論点 「ハーグ条約批准 日本の課題」2011年05月30日 (月)
弁護士 伊藤和子
日本政府は、先日「国際的な子の奪取に関するハーグ条約」の批准方針を閣議了解しました。
この「ハーグ条約」は、国際結婚の破たんに伴って、一方の親が他方の親の監護権を侵害するかたちで、子どもをそれまで暮らしていた国から国境を越えて移動させた場合に、これを「不法な連れ去り」とし、原則として、子どもをもとの国にただちに返還するという条約です。条約に参加した国は、子どもを迅速に返還する義務を負うとされ、そのための手続を整備しなければなりません。
視点・論点 「災害時の生活機能低下を防ごう」2011年05月24日 (火)
国立長寿医療研究センター 生活機能賦活研究部長 大川弥生
東日本大震災が起き、2ヶ月半がたちました。
これからの大きな課題として、生活機能の低下を防ぐことの大事さについてお話しさせていただきます。
視点・論点 「避難所暮らし 女性の状況改善を」2011年05月23日 (月)
ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子
東日本大震災によって多くの尊い命が奪われ、地震・津波そして原発事故の影響でいまだに多くの方々が見通しの立たない避難生活を送っています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
私たち人権NGOヒューマンライツ・ナウはこの間、被災地を訪ねて被災者の方々の実情、特に基本的な人権である衣食住の問題、災害弱者と言われる方々の実情についてお話をうかがってきました。また、私自身、弁護士として被災地における法律・生活相談をさせていただき、被災者の方々の切実な声に接しました。
震災から二か月が経過するなか、避難者の方々の疲労・ストレスは深刻化しています。子ども、女性、障がい者、外国人、高齢者など、災害の影響を深刻に受けやすい人々の状況が特に懸念されます。このなかでも今日は女性たちの置かれた状況についてお話ししたいと思います。
視点・論点 「大震災をよむ」2011年05月19日 (木)
俳人 長谷川 櫂
三月十一日の東日本大震災は詩歌の世界にも大きな影響を与えています。日本全国の人々が大震災を短歌や俳句によみ、新聞や雑誌やインターネットの投稿欄にはたくさんの作品が寄せられています。
では、大震災は短歌や俳句でどのように描かれているのか。さっそくその中からいくつかを紹介してみます。まず短歌から。
視点・論点 「ことばと被災地のこれから」2011年05月18日 (水)
尚美学園大学教授 小池 保
今回の大震災の被災地では、哀しみを抱えながらも、これからの生活と地域をどのようにしたら再建できるのか、真剣な言葉が交わされています。そこで、被災地の地域・コミュニティのこれからについて、地域の言葉の側面から考えてみます。
視点・論点 「私主義のミレニアル世代」2011年05月16日 (月)
政治アナリスト 横江公美
世界の中心はどこでしょうか。
現在のアメリカは、良い意味で「世界は、私を中心に回っている」と答える時代が到来しています。
そのため、全ての考えに地動説を導入してきた古い世代は、今まで築き上げてきた社会秩序が壊れてしまうのではないのか、という恐れすら感じているようです。
視点・論点 「大震災 在宅ケアの現場から」2011年05月12日 (木)
阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長 黒田裕子
私は3月12日から7回被災地を訪れ救援活動に従事しましたが、今回の東日本大震災の災害規模の大きさは、阪神・淡路大震災の被災者である私も、想像を絶するものでした。
自然災害に加えて原発被害はこれまでに経験しなかった災害となり、政府をはじめマスコミも原発事故対応がほとんどとなり、残念ながら被災者、特に在宅被災者の「くらし」への目線は極めて低いものとなり、置き去りになった感があります。
被災者にとって必要な「くらし」のサポートは医・衣・職・食・住・育(教育)と全般にわたります。
視点・論点 「シリアに見る中東政治」2011年05月11日 (水)
東京大学准教授 池内 恵
パキスタンで5月2日、米国は特殊部隊を投入し、国際テロ組織アル=カーイダを率いるオサーマ・ビン・ラーディン容疑者を殺害しました。
ビン・ラーディンは、2001年の9・11事件を首謀した、反米のグローバル・テロリズムの中心人物でした。これによって、米国はアフガニスタンから撤退するきっかけを得たと言えます。
視点・論点 「新訳で読む名作」2011年05月09日 (月)
現代詩作家 荒川洋治
海外の名作の「新訳」が、次々に出版されています。現代という時代に適したことばで、新たに翻訳したもので、その多くは文庫で登場します。短期間に100万部を突破して話題の、亀山郁夫訳・ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」全5巻、そして「罪と罰」。ダンテ「神曲」、ゲーテ「ファウスト」、スタンダール「赤と黒」、ゴーゴリ「外套」。エミリー・ブロンテ「嵐が丘」は数年の間に、2つの新訳が出ました。
視点・論点 「物語で伝える"伝統野菜"」2011年05月06日 (金)
東京都農林水産振興財団アドバイザー 大竹道茂
昨年の夏にNHKニュースセブンのヘッドラインで紹介された、早稲田ミョウガの発見は、一つの仮説から始まりました。
東京にも、先祖から受けついできた野菜を栽培し、自家用として食べている農家があることを知り、まだ他にも伝統野菜が残っているのではないかと云う思いを展開した結果でした。
視点・論点 「フェアトレード」2011年05月05日 (木)
東京経済大学 渡辺龍也
フェアトレードという言葉。見聞きしたことがある視聴者も増えているのでは。。。
フェアトレードとは、文字通り「公正な貿易ないし取引」を意味する。
より具体的には、途上国の零細な生産者や労働者が人間らしい生活を送れるよう公正な条件で取り引きすること。
なぜフェアトレードというものがあるのか。それは、通常の貿易が生産者にとって「不公正」であることが少なくないため。先進国の企業は世界中に進出し、可能な限り安い製品を買い入れ、生産して輸入してくる。その時、生産者の立場が弱いのをいいことに、度を過ごした「買い叩き」が起きることも。。。。
視点・論点 「お弁当と宇宙開発」2011年05月04日 (水)
東京大学教授 中須賀真一
2000年以降、いくつかの日本の大学では教員と学生の手で超小型人工衛星が開発され、打ち上げられてきました。2002年の千葉工大による鯨観測衛星、2003年の東大、東工大の1kg衛星CubeSatを皮切りに、さまざまな大学や高専で合計15機の衛星が開発・打ち上げられ、成果をあげてきました。それらの衛星開発は、もともとは学生が宇宙工学・もの作り・プロジェクトマネジメントを学ぶ題材として使われてきましたが、リモートセンシングや宇宙科学などの分野で、十分実用にも使えるレベルの衛星へと発展しており、超小型衛星を利用した新しい宇宙開発・利用の世界が切り開かれようとしています。
