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「2018FIFAワールドカップロシアへの期待」(視点・論点)

NHKサッカー解説者 山本 昌邦

2018年、いよいよFIFAワールドカップ、ロシアの年がやってきました。
大会は現地6月14日から7月15日まで、開幕まであと半年あまりです。
今日は、このFIFAワールドカップでの日本の戦いかたを中心に、大会の注目点、期待するところをお話ししてみたいと思います。

まず日本です。
昨年12月に行われた抽選会で日本は一次リーグ、グループHになりました。
対戦相手はコロンビア、セネガル、ポーランドです。
ハリルホジッチ監督が「もっと難しいグループに入る可能性もあった」と言っているように、前回優勝のドイツ、ヨーロッパ予選でイタリアを破ったスウェーデン、そしてメキシコがいるグループFになる可能性もあったのですから、この抽選結果はよかったのではないでしょうか。
もちろんワールドカップに楽な相手、戦いはありませんが、一次リーグ突破の可能性のあるグループに入ったのではないかと思います。
また初戦は開幕から5日たっていますので、審判の判定の基準や、実戦でのボールのブレなど、実際やってみなければわからない情報も手にできているでしょう。十分な準備で初戦をむかえられると思います。
対戦相手を見ていきましょう。
まず初戦は6月19日 相手はコロンビアです。
この初戦が一次リーグ突破の最大のカギを握っているとみていいと思います。
前回ブラジル大会でも、日本はコロンビアと同じグループでした。
ブラジル大会では一次リーグの最後、第3戦で対戦しています。
日本は勝てばわずかながら一次突破の可能性があり、コロンビアは既に一次リーグ突破を決めている状況でした。
前半を1-1で折り返しながら、終了間際に立て続けに失点して1-4で完敗。
日本にとってワールドカップでの最多失点で、決勝トーナメント進出の夢を断たれる屈辱を味わいました。
あれから4年。
日本はFIFAワールドカップと言う舞台で、コロンビアと続けて戦うことになります。日本にとっては、4年間の思いをはらすチャンスをもらった試合になりました。ワールドカップの借りはワールドカップで返す。
モチベーションがあがる試合になるのではないでしょうか。

今回、コロンビアは南米予選を4位で突破してきました。
中心選手はハメス・ロドリゲス、26歳。

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4年前日本を翻弄したプレーを覚えていらっしゃる方も多いと思います。
攻撃的ミッドフィルダーで、ブラジル大会では得点王となりました。
素晴らしいテクニックと視野の広さをもつ世界トッププレイヤーの1人です。
日本は、彼の左足を押さえこむことが求められます。
もう一人は、ファワードのファルカオ。

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ブラジル大会は怪我で出場できませんでしたが、コロンビア代表の通算最多得点記録を持つストライカーで、国民的ヒーローです。
ボールを受けるポジショニング、判断力が優れている選手で、日本はタイトなマークが必要でしょう。
この強敵に、日本はどんな戦い方をすればよいのでしょうか。
まずは、先制点を与えないことが大事だと思います。
堅い守備。まずいい守備をすることから入って、ボールを奪ったところで、攻守をすばやく切り替え、相手ゴールへ迫る。
前への推進力でチャンスをつくるという戦い方が必要でしょう。
今回は、強い意志を持ち、まず「相手を自由にさせない」「相手の強みを押さえる」という戦い方が大事だと思います。
その中で自分たちの良さを出していく事です。
一次リーグでは、勝利に勝ち点3、引き分けに勝ち点1があたえられます。
この初戦、もちろん勝つことが望ましいのですが、大切なのは最低でも勝ち点1を取るという事です。
日本は、ワールドカップに出場した過去5大会、初戦で勝ち点を取っている大会では一次リーグを突破しています。
初戦の勝ち点が自信につながる。
自信をつけて前に進んでいくことが大事になると思います。
そして、2戦目はセネガル。
アフリカ最終予選を4勝2引き分けと無敗で通過してきました。
両サイドにスピードがあり、6試合で3失点と守備も堅いチームです。
エースは、現在リバプールでプレーするマネ。

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アフリカ独特のリズムで、世界トップレベルのスピードと突破力を持つ選手です。しかし、ハリルホジッチ監督は長年アフリカで仕事をしてきているので、対策はたてやすいのではないでしょうか。
日本としては、セネガル戦が終わったところで、勝ち点4以上という状態でいたいところです。

3戦目の相手はポーランド。
ヨーロッパ予選はE組を1位で通過しています。
3大会ぶりの出場の原動力となったのが、エースのレバントフスキです。

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ヨーロッパ予選で16得点をあげました。世界トップクラスの点取り屋です。彼をどう抑えるかがポイントになるでしょう。
日本代表は前線からのプレスで、ペナルティエリアにボールを入れさせない
戦い方が必要だと思います。
一次リーグの3チームは、すべてタイプの違うサッカーをする強豪です。
それぞれに対して的確な準備をする事が必要になってきます。
戦術家として知られる、ハリルホジッチ監督は、おそらく相手によってメンバーを変えていくのではないでしょうか。
さて、ここで一次リーグを戦う都市から見てみましょう。

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ロシア大会の試合は11都市12会場で行われます。
日本代表は初戦コロンビア戦を サランスク、2戦目セネガル戦をエカテリンブルグ、3戦目ポーランド戦をボルゴグラードで戦います。
前回ブラジル大会は高温多湿の気候に苦しみましたが、1戦目、2戦目の都市はこの季節の平均最高気温が25度以下。3戦目のボルゴグラードが多少気温が高いと思われますが、暑いと言うほどではないでしょう。
つまり、いい気候、コンディションで戦えるという事です。
しかし、これは相手チームにとっても同じことがいえます。
ロシア大会の会場はほとんど、ヨーロッパといってもいい都市で行われます。
現在、世界の有力選手は、ほとんどヨーロッパのチームに所属していますので、彼らにとっては、ほとんどホームという環境でしょう。気候的にも条件が良く、移動距離も長くはありません。
 私は、ロシア大会では、選手のパフォーマンスがあがり、プレー一つ一つの質が高い、芸術的なサッカーを見る事ができるのではないか、世界のサッカー自体のクオリティーが一段あがるのではないか、と期待をしています。
もちろん日本代表もその中で素晴らしいプレーをみせて欲しいと思っています。
大会まで、半年、日本代表を含めた世界の32チームは、これから代表としての強化試合を戦いながら、また、所属クラブでのパフォーマンスを見ながら、代表登録メンバー23人を選ぶプロセスに入っていきます。
グループ内の対戦相手の情報の収集も重要です。現代では、活字、テレビ、ネットで様々な情報を収集、分析する事ができます。
コンディションを整えるための、合宿場所の選定、食事の準備など、やることは無数にあるといってもいいでしょう。
いい準備が勝利につながります。
日本代表が、そして世界のチームが、これからどんな準備をするのか、注意深く見守っていきたいと思います。

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