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視点・論点 「成人て何?」

怒髪天ボーカル 増子直純

オス!私、怒髪天というロックバンドのボーカルを務めております、増子直純49歳です。本日は1月11日ということで、まだ正月気分も抜けない感じでございますけども、成人の日ということで、今回は、今年ついに50歳を迎えるこの私が、成人についてお話したいと思います。

17歳からですね、私、バンドをやってきまして、まあ普通に考えると横道に反れた人生だと思うんですけれども、その私が成人について語る、笑止千万と思われる方もいらっしゃるかと思いますけれども、まあその意見もごもっとも。そのへん分かっていますけれども、やはり右に左に、前に後ろにこういろいろ裏道を歩いてきた、裏表歩いてきた私だからこそ、語れる部分もこれあるかと思いますので、しばしお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
さて、成人式。成人といえば成人式でございますけれども、現在では日本では二十歳(はたち)になる年、各地の公共施設やホールなんかで行われております。私もかの昔やりましたけども、いまはいろいろニュースで見たりすると、もう各地の成人式は荒れに荒れている。もうめちゃめちゃになってるというニュースをよく見ますけどね。
現在、年齢のみですね、二十歳になれば皆さん成人ということで、飲酒、喫煙、それが解放されるこの何ていうんですか、解き放たれる、開放感ですか、それによって各地めちゃめちゃなことになっているのではないかと思うんですけども。
いわゆる権利と義務というものがありまして、やはり権利を得るためには義務を果たさなければ、実際はいけない。それを得ることはできないんですけども、ただ年齢が二十歳になったというだけで、そのへん解放されてしまうということになってまして、昔ですと、江戸時代あたりですと元服といいまして、16歳ですか、髷を結って、そこで一人前の男として認められるというのがあったんですけど、いまはやはり成人になるというのは、ただ本当に年齢を重ねただけで成人になってしまう、そのへんはきちんとこう、教育なり、学校なり、家庭なりでやっぱり教えていく必要があると思うんですよね。
権利と義務、これはやっぱり一人前の社会人として、一般常識をわきまえるということね。ロックバンドやってきて、こんなリーゼントにしてる私が言うのもなんですけども、やっぱりこの義務なくして権利なしですからね。
いろいろなことを権利得られますけど、その中でも選挙権、今年の夏の参議院選挙からなんと、18歳で投票できるというね。確かにいままでは二十歳で、成人して、社会の一員となって選挙権を得る、その自分が暮らしていく社会に、そのいろいろな選択肢の中から「じゃあ、ここの人の任せよう」ということができたんですけども、もう本当に学生のとき、ほぼ学生のほうがもしかしたら多いかもしれないですね。
18歳。そのときに自分が国政に関わるという、これ重大な権利ですね。これを持つということになって。
これはでも、ちょっとほんとにどうすればいいのかな。
確かにでも、成人したらお酒、たばこ、そのへんは二十歳になってる。でもその前にですよ、選挙権だけが18歳から持てるということになって、これは相当やっぱりその選挙に対する構えというんですか、それをちゃんと学校で教育しなければいけない。これね、まあ家庭ももちろんそうなんですけども。
自分の持ってる一票というものが、今後の自分の生活、社会生活、人生のいろいろな関わってくる、税金でもそうですよ、単純にね、一番こう身近なのだとそうですけど、税率がどうのとか、いろんな法律に関わってくるということを、なかなか18歳ぐらいじゃ分からないと思うんですね。
俺も実際、働き始めてから、その自分の投票するということの、その重さですか、その責任感ですか、その選んだ人が、例えば何かしらその法案を出したものについて、多少「んー、そうか。しょうがないかな、これ自分が選んだんだから」と、思える人にきちんと、情報を集めて投票しないと、本当に何ですか、もう本当に思うんですけど、昨今の選挙、何かタレントの人気投票に近いものにちょっとなってきてる。
気持ちは分かりますよ。顔も見たこともないような人よりも、いろいろいつもテレビで見てて、タレントさんとか、この人が真面目にやりますって言ってるんだったら、「じゃあ一票入れようか」みたいなことになるんですけれども、元々政治っていうのは専門職ですから、いろいろやっぱりタレント何年やった、歌を何年歌ってるからっていってね、顔が売れてるからできるっていうものではないんですよ。きちんとやっぱりそのへんを加味していかなきゃならない。それが18歳にできるのか。
そして19歳、二十歳になると、そのお酒とか喫煙の権利はありますけども、じゃあ19歳と、18歳、19歳、二十歳と、これ一体何が、そこに何の差が生まれてくるのかといったらもう、ほとんど差はないですからね。それなのに与えられる権利が違ってくる。それをちゃんと有効に使えるのかということも、すごくこれ本当に気になってます。我々ももちろんですけども、本当に教育に携わる方、そして政治家の方々、そのへんの、きちんと投票の重き、「このぐらい重いんですよ」「これが自分の生活に本当に関わっていくものなんですよ」ということを、きちんと教えていだだきたいところですね。そのへんをあまり知らなくて、すごく損したなということがやっぱりいくつか自分の経験の中でもありますので、そのへんは是非ともよろしくお願いしたいと思っております。
そして、本当にあの、責任、親と学校によってですね、その教育というのはもちろん行われていくものなんですけれども、やっぱり、言っても子供ですから、まだ学生時代は。自分で働いて、その対価を得て、食事をしたり、生活をしていく服を買ったりとか、そういう社会生活をまだ営んでいないわけです。そこらへんを自分できちんとやっていく、もう社会をサバイバルしていくその術、それが大変であるということ。
でも、「大変だよ、大変だよ」と「大人は大変なんだよ」ということばっかりを言われてると、自分も学生のときにすごくビビッてましたから、大人になること。「いやー、何かもう嫌だな」と。税金は高いし、仕事は毎日もう絶対休めないし、もうこれからずっとここに、この会社に入ったら一生ここに通うの、「もう嫌だな」ってね。その気持ち分かります。
だけど、大人、我々大人が、きちんと子供たちに口で教えるだけじゃなく、その背中を見せていかないと。仕事をすることの生き甲斐、そして選挙の大事さもそうですけども、どうやって生きていく、いろいろ大変なことはもちろんある。だけど、そのいろいろな義務を果たしたときに、自分たちが大人として楽しめる権利もたくさんあるんだよということを、きちんと子供たちに見せていく。
この成人の日、子供たちだけではないです。これから成人になる者だけじゃない。成人した我々が「成人とは何か」「大人とは何か」ということを考える一日になってもいいかと思います。

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