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画家 林 静一

 今年8月に遣欧使節団400年ということで、キューバとメキシコで個展を開いて参りました。

遣欧使節団と申しますのは、1609年に、現在の千葉県御宿町付近で座礁したフィリッピン総督ドン・ロドリゴ一行を助け、メキシコへ送り返したところから日本とメキシコの交流が始まります。この交流がきっかけで、伊達政宗はメキシコを経由してローマに遣欧使節団を送る事を考え、その使節団の正史として支倉常長が選ばれ、慶長18年、1613年9月に出航、キューバ、メキシコ・アカプルコと寄港致しました。そこから陸路でベラクルスへと入り、ベラクルスからキューバを経てスペインへ向かい、ローマへ赴いた訳です。

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今回、遣欧使節団400年記念として私が個展を開きましたのは、最初の寄港地メキシコのベラクルス州と、次の寄港地キューバです。
二番目の寄港地、キューバの開催会場は、ハバナのルべン・マルティネス・ビジェナ公共図書館ギラリーです。会期は8月8日から8月31日迄でした。

主催は在キューバ日本大使館とハバナ歴史事務所です。開催期間中、多くのキューバの方や旅行者の方々が見えられ、当初の会期を10月3日まで延長され、盛況時に幕を閉じる事が出来ました。この期間中、8月9日にアンボス・ムンドス・ホテルで、12日にはビクトル・ユーゴーの家にて、更に13日には、映画産業省イカイックスタジオにて、講演を行いました。

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キューバ会場で印象に残ったのは、異なる文化の中で育まれた私の表現を理解し受け入れるキューバの人達の姿です。特に私のアニメ作品をモニターで流しておりますと、その前に立ち尽くし、最後まで魅入る姿など、印象深く記憶に残っております。

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また、近年、世界の若者を魅了しております漫画、アニメファンが、ここキューバにも多く居られます。漫画雑誌が発行されていないキューバの現状を訴え、どの様にしてここキューバで漫画雑誌を発刊出来るか、その相談もされた次第です。また、ハバナ近郊からハバナに観光で見えられた娘さんが、私の様々な表現ジャンルに渡る作品をご覧になって、驚かれ、感激していた様子は忘れる事が出来ません。
映画産業省のイカイックでは、日本のアニメが映画からアニメへと主軸を移す時代を語りますと、同業者としての興味が尽きないようでした。 私の話が終わらないうちから、質問の手が上がり、製作者同士、肌で感じる制作現場の実情を、我が身として理解しようとする姿が印象的でした。

講演を終えてからも制作室へ案内され、日本のアニメスタジオの制作現場はどの様な流れになっているのか、日本大使館員の方が時間切れですと制するほど対話は白熱しました。ここで今まで開いた講演中、最も盛り上がりを見せた講演であると、驚いた様子でした。

さて次のメキシコ・ハラパに在る、ベラクルス州大学のラモン・アルバ・デ・ラ・カナル・ベラクルス大学ギャラリーでの交流記念個展ですが、8月18日に在メキシコ日本大使のテープ・カットで始まりました。メディアも遣欧使節団、交流400年記念個展とあって、ご覧のようにアート面一面で伝える関心を示しました。
こちらでも個展開催日の翌日、19日に、ベラクルス大学の芸術研究所にて講演を行いました。ここでも、若い方々の関心は漫画、アニメで、ベラクルス州からバスに乗って2時間をかけて個展、講演へと駆けつける若者がおりました。改めて世界中の関心を集めている日本の漫画、アニメの影響力の大きさに、驚きもした個展開催でありました。

さて今回の私の個展を振り返りますと、私の作品が日本画の静止画から、動きは有りませんが、多くの絵が連なる事で物語を伝える漫画へと、また、その多くの絵の一つ一つが動くというアニメまで、大衆的な広がりを持つ作品群で構成されておりました。伝統の美人画を、時代が注目するメディア、アニメ、漫画で展開したのも、私と同世代から若い方々まで、関心を持つ展覧会へと繋がったのではないかと思っております。
江戸時代に幅広く支持された浮世絵美人画。その江戸美人画から現代の美人画へと繋がる作家がいる事に、興味を持たれたのだと思います。また、時代のメディアにのって展開する美人画から、少女漫画も生まれております。それがかわいい文化として、西欧の美の価値基準にもう一つの基準を提案しているとも思えます。世界の文化に参加するパワー持った表現が日本から生まれ、それが日本文化の流れの中にあった事を、理解していただけたと思っております。
この理解が、今回の両国での個展が架け橋になり、より深い交流に進むのではないかと、願っております。

 

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