解説アーカイブス これまでの解説記事

視点・論点

慶応義塾大学 教授 駒村 康平

政府は来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半延期することにしました。消費を維持し、デフレ解消を確実にするという目標を重視したからです。しかし、日本社会は、急激な高齢化と人口減少に確実に向かっており、社会保障不安、老後、介護不安が人びとの最大の将来の不安であり、その不安が人々の消費意欲を減退させています。
こうした不安を取り除く社会保障制度改革を行うためには、十分な財源と政治の利害調整能力が不可欠です。かつての日本のように十分な経済成長があり、人びとの生活にゆとりがあれば、政治の利害調整の負担は小さいでしょう。しかし、経済成長が鈍化し、格差が拡大し、他人に配慮する余裕のないなかでは、社会保障制度改革によって「負担の押し付け合い」が表面化するために、政治の強い利害調整が必要になります。

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三菱UFJリサーチ&コンサルティング 上席主任研究員 片岡 剛士

去る6月1日、安倍総理大臣は2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを延期して、2019年10月に行うことを表明しました。消費税率10%引き上げの延期表明は2014年11月18日に続き二度目となります。
消費税を増税するのは、社会保障制度を維持・充実させ、さらに財政健全化に結びつけることが目的と言われますが、私は問題点が大きいと考えます。

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中央大学法科大学院 教授 森信 茂樹

安倍総理は、本年5月の伊勢志摩サミットを受けて、17年4月から予定されていた消費増税を、2年半後の2019年10月へ先送る決断をしました。
「今は増税できる環境にはない」という「新たな判断」だということです。確かに世界経済はリスクが高まりつつありますが、わが国経済は、ほぼ実力通り、つまり1%弱といわれている潜在成長率と同程度の経済成長を遂げており、増税が短期的に需要を奪うことはあるでしょうが、少し長い目で見れば経済がひっくり返るような状況にはありません。
問題は、潜在成長力が低いことで、それを高めるには、増税により財源を確保しながら少子化・格差・貧困問題への適切な対処をすることが有効です。わが国に必要な政策は、「需要」を付けることではなく、「実力」を付けることです。また、財政再建を先送りすることは、将来に向けてより大きなリスクを残すことになるので、これは防ぐ必要がある、以上が私の基本的な考え方です。

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学習院大学教授 野中 尚人

アベノミクスの是非や改憲をめぐって争われた参議院選挙が終わりました。18才以上の若者が初めて選挙権を行使した国政選挙でもありました。
結果は、概ね事前の予測通りでしたが、改めていくつかの点を指摘しておきたいと思います。

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酪農家 中洞 正

私は、現在岩手県で酪農を営んでいる、中洞正と申します。
山地酪農という手法で、牛を放牧し、そこで生産された牛乳を使って、飲用牛乳、ヨーグルト、バター、アイスクリームなどの乳製品を製造販売しています。牧場内では農薬や化学肥料などは一切使わず可能な限り自然の摂理のまま牛を放牧しております。
今日は私が行っている「山地酪農」と日本の酪農のあり方についてお話したいと思います。

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熊本大学 減災型社会システム実践研究教育センター長 松田 泰治

3ヶ月前、熊本県では、県中央部の日奈久断層と布田川断層を震源として、二度にわたる大きな地震が発生し、4月16日の本震ではマグニチュード7.3の地震により震度7を記録しました。その後も大きな余震が数多く観測されています。実は、熊本県では平成25年に策定した地域防災計画において、これらの断層が連動して動いた際の被害を予測し、市町村に対して地域防災計画の見直しを要請していました。
しかし、127年もの長い間、大きな地震が起きていなかった熊本地方を襲った今回の地震により、家屋やビルの倒壊をはじめ、高速道路や一般道、新幹線や在来線が寸断され、電力、ガス、水道などのライフラインも停止して、甚大な被害が発生しました。

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新潟大学講師 榛沢和彦

3ヶ月前に発生した、熊本地震では、大規模避難所施設の損壊による避難所不足、度重なる余震の恐怖などから多くの方が車中泊避難をされました。その結果51人が入院を必要とするエコノミークラス症候群を発症し、そのうち重症は5人で1人が亡くなっています。
残念ながら、日本では災害の度に、多くの方がエコノミークラス症候群にかかる、という事が繰り返されています。
今日は災害後のエコノミークラス症候群を予防するために何が必要なのか、お話したいと思います。

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鳥は飛ぶことを生かして長距離の季節移動、渡りをします。毎年、秋と春に北の繁殖地と南の越冬地の間を行き来するのです。その距離、数千キロから数万キロ。長い旅の途中には、いろいろな危険が待っています。それでも、毎年毎年、山を越え、海を渡り、いくつもの国の上空を通過しながら、長旅を繰り返すのです。
 それにしても、鳥たちはいったいどこから来るのか、またどこへ行くのでしょうか。季節によって旅の道筋、渡りの経路は違うのでしょうか。鳥の渡りをめぐってはいろいろな疑問があります。私たち人間は、鳥のあとをついていくことができないので、これまで、渡りをめぐる多くの疑問に答えることはできませんでした。
しかし、最近の科学技術の発達によって、渡りの謎は急速に解明されてきています。利用できる技術は、人工衛星を利用した追跡から、日の出・日没の時間の地域差を、1グラム前後の小さな機器に記録し、追跡するものまであります。きょうは、最近明らかになった、鳥の渡りのおどろきの実態を紹介します。ただし、技術についての話は少々ややこしいので、省略します。

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料理研究家 土井善晴

きょうは夏の料理について話します。
夏の暑い日に冷たいものを飲んだり、食べたりするのは、あたり前のことって思っていますが、冷たいものを楽しめるというのはとても日本らしいことなのです。日本以外ではそうはいきません。
初めて私が外国に行った時、生水やアイスは絶対食べてはいけない、と、まず言われたものです。外国では食あたりでお腹が痛くなることがあるからです。今、台湾旅行の楽しみは 「マンゴのかき氷」らしいですが、それは最近のこと。衛生管理に気をつけて守ることで楽しめるのです。

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東京藝術大学大学美術館 准教授 古田 亮

欧米を旅行すると、各国の美術館で日本美術の展示に出会うことがあります。米国ではメトロポリタン美術館やボストン美術館に数千点規模の日本美術コレクションがあり、美術館展示の主要な位置を占めています。米国において日本美術が収集され研究されるという歴史は、明治時代まで遡ります。19世紀末には日本では美術と見なされなかった浮世絵版画が熱狂的に愛好されたように、あるいはアメリカ人コレクター、ジョー・プライス氏が戦後いち早く伊藤若冲の収集をはじめていたように、米国のコレクターや研究者たちが日本美術の中に新たな価値観を見出し先導するということが起こっています。
その根柢には、日本美術に対する見方、感じ方の違いがあるのではないかと思われてなりません。そのことを、米国における日本美術の収集対象や研究方法などを例に、考えて見たいと思います。

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