視点・論点 「クリエイティブ産業の振興と日本の未来」2012年02月07日 (火)
森美術館 館長 南條史生
今日は、クリエイティブ産業の需要性と言うことについて、お話ししたいと思います。
いまテレビを聞いている方々の中で、どのくらいの方が、この言葉をご存じでしょうか。
この言葉は、日本語で言えば「創造産業」つまり独自のアイデアによって、新たな価値を作り出す経済行為、とでも言えるのではないでしょうか。
視点・論点 「65歳雇用確保を考える」2012年02月02日 (木)
労働政策研究・研修機構研究員 濱口桂一郎
去る1月6日、厚生労働省の労働政策審議会が、希望者全員を65歳まで雇用するよう企業に求める内容の建議を大臣に提出しました。今後、この建議に沿って法案が国会に提出されると思われますので、この時点でその背景や内容について解説しておきたいと思います。とりわけ近年は、若者の雇用情勢も大変厳しいことから、高齢者雇用を進めることに批判的な意見も見られますので、その両者の関係についても説明をしておきましょう。
視点・論点 「貿易赤字 今後の展望」2012年01月30日 (月)
JPモルガン証券チーフエコノミスト 菅野雅明
25日に財務省が発表した貿易統計で、2011年の貿易収支が1980年以来31年ぶりに赤字になったことが明らかになりました。
では、貿易収支の赤字化は一時的なものでしょうか、あるいは、今後も赤字が持続するのでしょうか。私の考えを先に申し上げますと、貿易赤字は、むしろ今後拡大する可能性が大きいと考えています。
視点・論点 「20歳を迎えた半島のアートフェスティバル」2012年01月26日 (木)
画家 谷川晃一
かなり以前から、地方,地域は活性化を願っていますが、どこも思案に暮れているようだし持続ということからも難しいようです。今日は20年続いている伊豆高原アートフェスティバルの話をいたしますが、なにかのご参考になれば幸いであります。
視点・論点 「山からクマが下りてくる!」2012年01月25日 (水)
森林総合研究所 鳥獣生態研究室長 大井徹
1.全国クマサミット
昨年12月に岡山県美作市で1回目の全国クマサミットが開催されました。14都道府県から約400名が参加し、クマの出没対策や保護について考える機会を持ちました。
サミット開催の背景には、クマの出没、人身被害の増加があります。一昨年には、本州の広い範囲で、たくさんのツキノワグマが人里に出没し、2名が死亡、145名が負傷し、被害防止のために約3500頭のクマが捕獲されました。サミットを企画した美作市と近隣市町村でも、人身被害こそなかったものの同様の状況でした。
実は、これらの市町村のある岡山県では、県内のクマの生息数を10頭程度と推定していました。ところが、一昨年は美作市だけで140件近くのクマの目撃がありました。クマがいないと考えられていた地域に、あまりにも多くのクマが出没したので、住民は不安に思い、市は対応に追われました。クマとその生息地に大きな変化が起きています。いったい何が起きているのか、現状と必要な対策についてお話します。
視点・論点 「ユーロ危機で揺れる欧州―文化芸術の現場から」2012年01月24日 (火)
Palais de Tokyo シニア・キュレーター 三木あき子
ご存知のように、現在、債務危機に端を発した欧州統一通貨ユーロの危機が、深刻な問題となっています。ユーロの崩壊とは、世界経済の危機であるとともに、 欧州連合自体の危機でもあり、欧州は今、さまざまな意味で歴史の大きな転換期にあります。
本日は、その発端となった小国ギリシャと、ドイツとともにユーロを救うべく奔走する大国フランスの近年の美術界の動きなどを通して、断片的ではありますが、この非常事態ともいえる状況下で、文化芸術活動がいかなる影響を受け、どのようなサヴァイヴァルが繰り広げられているのか、そこから何を読み取れるのかといったことについて、少しお話したいと思います。
視点・論点 「乳幼児突然死の予防に向けて」2012年01月23日 (月)
三重大学教授 成田正明
こんにちは。三重大学の成田正明です。本日は乳幼児突然死症候群のお話です。
それまで元気で、ミルクをよく飲み、機嫌もよく、すくすく育っていた最もかわいい盛りの生後数ヶ月の赤ちゃんが、ある日突然、なんの前触れもなく寝ている間に死亡してしまう。御家族や周りの人にとって、これ以上の不幸はありません。しかも原因も不明だといいます。乳幼児突然死症候群はそういった病気であり、これだけ医療の発達した現代においても、また完壁に育ててもおこり得るおそろしい病気です。原因も不明なだけに、医療事故や虐待の隠れ蓑にされるおそれもあります。
本日は、この乳幼児突然死症候群について、現状とともに、解決すべき問題点について論じて行きたいと思います。
視点・論点 「イランとホルムズ海峡」2012年01月20日 (金)
日本エネルギー経済研究所理事 田中浩一郎
【導入】
中東・北アフリカ諸国が、民衆運動と政変で大きく動いたのが、昨年、2011年でした。発端となったチュニジアとエジプトにおける政権交代から、ほぼ1年が過ぎ、今度は、イランと、ペルシア湾の出入り口にあたるホルムズ海峡をめぐる緊張に、世界の関心が移りました。
きょうは、2012年を通じて、この地域の焦点となる、イラン核問題への対処と、それが日本に及ぼす影響について、考えをまとめてみました。
視点・論点 「素顔のブータン」2012年01月19日 (木)
写真家 石川直樹
昨年、二回に分けてブータンを訪ねました。ブータンには独特の観光制度があります。独特の観光制度とは何かというと、この地を旅するためには、まずガイドとドライバーの同行が義務づけられています。つまり、一人で自由旅行をすることができず、1日200ドルの公定料金を旅行会社に支払って、ホテルやガイドの手配をあらかじめしなければならないということです。一人旅特有の猥雑な手間がいらないという意味では便利な制度ですが、宿を自ら探して泊まり歩くような一人旅はできないんですね。
視点・論点 「台湾・馬英九総統再選」2012年01月18日 (水)
慶応義塾大学教授 国分良成
さる1月14日、先週の土曜に、台湾で総統選挙と立法委員選挙が同時選挙で行われました。
いわば大統領選挙と国会の選挙が同時に行われたということですが、投票率は全体で74.38%、約75%ということで、実は前回よりは若干低くなっているんですが、それでも高い投票率だなと思います。
視点・論点 「社会保障と税の一体改革素案(1)消費税について」2012年01月16日 (月)
慶応義塾大学教授 土居丈朗
政府与党は、この度、社会保障税一体改革素案を取りまとめました。
その中で、やはり一番注目を集めているのが、消費税の増税ということだろうと思います。確かに消費税の増税によって社会保障を充実させることなんですけれども、どうも国民の間では、必ずしもその素案に含まれている社会保障給付の充実については、なかなか具体的なアイデアが見つかってないんじゃないかという風に言われるところもあります。
視点・論点 「防災からみた松」2012年01月12日 (木)
砂防・地すべり技術センター研究顧問 池谷 浩
昨年3月11日東北地方を巨大な津波が襲いました。岩手県陸前高田市の名勝「高田松原」の約7万本におよぶ松も津波になぎ倒されてしまいました。しかし、1本の松だけが奇跡的にも津波に耐えて残ったのです。
復興のシンボルになってほしいとの地元の皆さんの願いも虚しく、この1本の松も昨年末に枯死状態となってしまいました。しかし、皆さんの熱い思いは接ぎ木や種子から後継樹の苗の育成を成功させ、次世代へと引き継がれることとなりました。きっと1本松の子孫が災害復興のシンボルとなる日が来ることと思います。
視点・論点 「アフガニスタン"山の学校"の子どもたち」2012年01月11日 (水)
フォトジャーナリスト 長倉洋海
中央アジアに位置し、イランとパキスタンに挟まれた国がアフガニスタンです。
かつてシルクロードの十字路として栄えたことでも有名な国です。
今回、お話しする「山の学校」は、首都カブールから北東に120キロほどのパンシール渓谷にあります。
視点・論点 「LADY GAGAの政治学」2012年01月10日 (火)
ヘリテージ財団上級研究員 横江公美
成人式を迎えました。若者の投票率は、日本だけではなく、アメリカでも常に問題になっています。
しかし、アメリカでは、レディ・ガガが登場した2008年ごろから、若者の政治への意識が変わってきています。
視点・論点 「一票を持つ君たちへ」2012年01月09日 (月)
早稲田大学教授 岡澤 憲芙
成人の日に政党政治と年齢についてお話したいと思います。
結論は、「日本社会が直面する政策課題は、世代間連帯を構築し、時間をかけてじっくり取り組むシステムを必要としています。そのためにも若い世代の政治資源を活用する必要があります」「一票を無駄にしないで、地球社会と日本の未来について納得のいく選択をしてください。油断をすると高齢の有権者が選挙過程を支配して次世代の未来を決定してしまいます」「若者よ油断するな」です。
視点・論点 「2012年 経済」 2012年01月05日 (木)
国際通貨研究所理事長 行天豊雄
今年の世界経済・日本経済は、残念ながら、共に不安定な状況が続きそうです。一番困ったことは、リーマン・ショックの後と比べると各国が協調して大規模な景気対策を打ち出す力がなくなってしまっていることです。
視点・論点 「2012年 復興」2012年01月04日 (水)
ひょうご震災記念21世紀研究機構 理事長 貝原俊民
昨年は、東日本大震災をはじめ自然災害も多く、また、多くの課題も展望が拓けない状況でしたが、今年は、明るい未来へ向かって、確かな一歩を踏み出す年になることを期待してやみません。
さて、阪神・淡路大震災を経験した私にとっても、この度の東日本大震災による被災地の惨状は、想像を絶するものでありました。
改めて、亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災された皆様に心からお見舞い申しあげます。
東日本大震災から、やがて十カ月が経過しようとしていますが、関係の予算や主な法律も成立し、ようやく本格的な復興が始まりました。
この復興本番に当たって、阪神・淡路大震災時の経験をふり返り、是非留意していただきたいと考える三点、すなわち復興の基本目的、復興事業の原則、そして、国民の持続的な関心の重要性について申し上げます。
視点・論点 「米軍完全撤退後のイラク」2011年12月28日 (水)
日本エネルギー経済研究所研究員 吉岡 明子
アメリカのオバマ大統領は今月14日にイラク戦争の終結を宣言し、その4日後、イラクからの全ての米軍部隊の撤退が完了しました。2003年のイラク戦争は、わずか3週間程度で首都陥落に至り、旧フセイン政権は崩壊しましたが、その後の国家再建に足をとられる形で、米軍のイラク駐留は9年近くに及びました。今日は、米軍が撤退した後のイラクがどのような問題に直面しているのかを、考えていきたいと思います。
視点・論点 「冬の仮設住宅」2011年12月27日 (火)
阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長 黒田 裕子
東日本大震災は、一瞬のうちに死者1万5842名、不明者3481名(16日現在警察庁調べ)の尊いいのちを奪い去りました。
1000年に1回といわれているもののこんなことがあって良いのでしょうか。2度と起きないでと叫びたいものです。東日本大震災に遭った人々は、今避難所から仮設住宅に住居を移して生活がはじまっています。避難所の混沌とした居住から確立された空間の中でいかにも穏やかな生活が始まっているようには見えますが、これまで大きな家に住んでいた人々にとっては日々の生活に縮小がかかりとても難渋な生活になっているように思えます。
視点・論点 「農学の出番、ふたたび」2011年12月26日 (月)
科学ジャーナリスト 小出五郎
農業、漁業などの一次産業は、自然とともにあり、私たちの口に入る食品は、いうまでもなく自然界の産物。
福島第一原発から放出された放射性セシウムは、自然界をいったいどのように循環するのか。土の中で、水の中で、植物、作物のなかで、生きものの間をどのように移動するのか、食品を通じて私たち人間に影響するのか。
こうしたセシウムの自然界での動きを総合的に研究する分野は、大学で言えば農学部、つまり農学という括りになっている。
視点・論点 「被災地の子どもたちから学ぶこと」2011年12月21日 (水)
紙芝居師 金谷邦彦
私は2006年3月まで22年間東京文京区の小学校教員として働いていました。私の職は用務主事でしたが、その主事室はいつも子供たちでいっぱいでした。その中には教室に入れない子や、不登校でも主事室になら通えるという子、その他色々な子ども達が集まり、いつも賑やかでした。みんな主事室に来ると元気になります。毎日そんな子ども達に囲まれて楽しく過ごしていました。ところが退職して街へ出てみると、ほとんど子どもの姿を見かけません。たまに遊んでいる子どもを見かけても、学校では子ども達に「知らない人に声をかけられたら、注意してあまり近づかないように、怪しいと思ったらすぐ逃げるように」と指導しているのを耳にしていましたので、気軽に声を掛けるわけにもいきません。学校を退職した今、街で子ども達とコミュニケーションを取るのは容易なことではありません。
そこで思いついたのが紙芝居でした。
視点・論点 「子どもたちが写した被災地」2011年12月20日 (火)
日本ユニセフ協会 プログラムコーディネーター 菊川 穣
私たち日本ユニセフ協会は、東日本大震災被災地支援の一環として、11月5日から約1ヶ月にわたり、岩手、宮城、福島の各県で、ユニセフ(国連児童基金)が世界各国で実施している「EYE SEE(私たちが見たもの)」プロジェクトを実施しました。
「EYE SEE」は、紛争や災害、貧困などに苦しむ世界各国の子どもたちに、写真撮影を通じて、自分の考えや感情を「表現」し周囲と「共有」する体験を提供することを通じて、子どもの社会参加を促すことを目的とするプロジェクトです。2006年、パキスタン大地震発生から約1年後に実施されて以来、これまでに、リベリア、ルワンダ、マダガスカル、南アフリカ、エチオピア、マリなどの国ぐにで実施されてきました。
視点・論点 「里親養育を拡げるための条件」2011年12月19日 (月)
日本社会事業大学専門職大学院准教授 宮島 清
里親養育への関心が高まっています。震災の発生を受けて、人と人との繋がりに関心が向いたことや、偽りでない本物の社会貢献がしたいという思いが増したことと関係していると思います。また、一方で、今年の夏に、3歳の女の子が命を落とした事件で、里親が逮捕されたこととも関係していると思います。
しかし、里親養育への関心が高まっているものの、その実態があまり知られず、今必要なことについての情報に偏りがあり、人々のせっかくの関心の高まりが、里親養育を必要とする子どもの福祉充実に、まだまだ結びついていないことを残念に感じています。
視点・論点 「節電の冬」2011年12月13日 (火)
消費生活アドバイザー 山川文子
冬の電力の需要は、一般的に夏よりも少ないことから、この冬の電力不足は全体的には夏ほど深刻ではない状況ですが、関西電力・九州電力管内を中心に電力不足が懸念されます。関西電力管内において、平日の9時から21時の間10%以上の節電が、九州電力管内において平日の8時から21時の間5%以上の節電が求められています。そのほかの地域は、平日の9時から21時の間に、特に数値目標は設けず、可能な範囲での節電が呼びかけられています。
この夏は、多少の我慢を強いられた節電をした方も多かったのではと思いますが、このような状況を踏まえて、この冬は無理をしない節電にじっくりと取り組みたいものです。
視点・論点 「日本人は契約・交渉ベタ?」2011年12月12日 (月)
弁護士 福井 健策
皆さん、先日は何回、ネットで「同意する」とクリックしましたか?
アマゾンのような通販サイト、ツイッターのようなソーシャルネット、いずれも利用するには「同意」というボタンなどをクリックしますね。
あれは何に「同意」しているのでしょうか。
視点・論点 「番号時代の到来」2011年12月09日 (金)
一橋大学名誉教授 堀部政男
私たちのまわりには各種の番号があります。電話番号はもとよりですが、会社に勤めている人には社員番号、在学中の人には学校の番号、自動車にはナンバープレートなど、枚挙にいとまがありません。
ここで“番号時代”と命名してみましたのは、各場面においてそれぞれ必要に応じて使われている番号を越えて、新たな番号を付して利用する、新たな時代が到来しつつあるという状況を踏まえてであります。
視点・論点 「ミャンマー民主化は本当か」2011年12月07日 (水)
上智大学教授 根本 敬
まるで独裁国家が急に民主化に向かい始めたかのようなニュースや解説が流れています。東南アジアのミャンマー(ビルマ)のことです。1988年から23年間続いた軍政が本年3月末、「民政」に衣替えし、旧軍事政権のナンバー4だったテインセイン大統領率いる新政府が登場して8カ月がたちます。確かにこの間の「変化」は目立ちます。
視点・論点 「談志死して"落語"を残す」2011年12月06日 (火)
コラムニスト 堀井憲一郎
落語家の立川談志さんがなくなりました。
落語界の風雲児とも称され、一時代を築いた落語家さんでした。その毒舌のため毀誉褒貶さまざまですが、でもその高座には圧倒的な魅力がありました。嫌うにせよ好きになるにせよ、無視することのできない存在でした。
視点・論点 「維新の会・"大阪都"のゆくえ」2011年12月05日 (月)
東京大学名誉教授 大森 彌
去る11月27日、大阪府知事選と大阪市長選が投開票されました。この選挙が注目されたのは、地域政党「大阪維新の会」が、市長選には会の代表の橋下徹氏を、知事選には会の幹事長の松井一郎氏を、その公認候補者として立てからでした。
視点・論点 「205万人が意味すること(3) 対策」2011年12月01日 (木)
北海道大学教授 宮本太郎
東日本大震災やヨーロッパ発の金融不安などが重なり、雇用情勢が再び深刻になりつつあります。こうしたなか、10月1日から求職者支援制度が始まりました。求職者支援制度とは、雇用保険の受給資格のない失業者に対して、無償の職業訓練を受けることを条件に、最長1年間、月額10万円を給付する制度です。
この制度は、2009年から導入された緊急人材育成支援事業による基金訓練という制度を恒久化したもので、第二のセーフティネットとも呼ばれます。今、なぜ求職者支援制度が必要になり、どうして第二のセーフティネットと呼ばれるのか。まずここから考えてみましょう。
