ここに注目! 「児童虐待防止に医師マニュアル」2011年09月20日 (火)

西川 龍一  解説委員

児童虐待が後を絶たない中、病院に搬送された子どもが虐待を受けているケースを医師が見落とさないようするための診断マニュアルができ、20日からネットでも公開されました。西川解説委員です。

Q.このマニュアル、どうして作られたのですか?

A.親の虐待でけがをした子どもが病院に連れてこられた場合、医師が虐待を疑うことができなければ、子どもの命に関わることがあるからです。医師が虐待に気づかず、治療を終えた子どもをそのまま帰した場合、25%の子どもは再び虐待によってより酷いけがを負わされ重症となり、5%の子どもは死亡したという研究結果もあります。去年1月、東京・江戸川区で小学1年生の男の子が虐待を受けて死亡した事件では、事前に男の子を診断した医療機関が虐待に気づかなかったことが課題の一つだと指摘されました。

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Q.今回のマニュアルはどういう特徴がありますか。

A.マニュアルは、厚生労働省の研究事業の一環として日本子ども虐待医学研究会が協力して作りました。重視したことの一つは、虐待への気づきの部分です。耳や胸からお腹、背中や手の甲に挫傷ややけどがある場合は虐待の可能性が高いことなどを図で示しました。もう一つは、医師の判断が甘くならないようにすること。虐待の可能性がある場合は、フローチャートをたどれば、対処方法がわかるようになっています。ためらわずに児童相談所に通報することが、子どもを助けるための診療行為だとして、判断に迷う場合は子どもを保護する方向で行動することを求めています。マニュアルはあわせて5万部以上を配布しているほか、保育士や学校の先生たちにも見てもらえるように、20日から研究会のホームページ(http://jamscan.childfirst.or.jp)で公開しています。

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Q.虐待を減らすことにつながりますか。

A.つなげなければなりません。昨年度全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は、前の年度より1万件以上増え、5万5千件を超えました。深刻な状態が続く中で、医師は、これまで以上に当事者意識を持って診療にあたること。そして、医師だけでなく我々一人一人が関心を持つことで、一人でも多くの子どもが救われることを認識する必要があると思います。