◆今や100万種の動植物が絶滅の危機にあるとされる中、生物多様性をどう守る?
動物たちが箱舟に乗って漂っていますが、その海も温暖化やプラごみなどで危機的な状況です。
この箱舟に象徴される“生物多様性”簡単に言えば豊かな自然は、食料や薬の原料をもたらしてくれるほか、これが損なわれると自然災害や感染症のパンデミックなどにもつながるとされ、世界経済フォーラムは「生物多様性の喪失は世界経済の重大リスク」だともしています。
そこで去年の末、世界がめざす目標として「生物多様性を2030年までに回復軌道に乗せる」などを掲げた「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が合意され、その実現などに向けて各国が「国家戦略」を作ることになっています。
◆日本の国家戦略案まとまる わたしたち個人の役割も
日本では13日に国の有識者会議で戦略案がまとまり、3月中に閣議決定される見込みです。
内容は世界目標を踏まえて、2030年までに陸と海の30%を保全地域などにして守っていくほか、侵略的な外来生物が国内に定着するのを半減させるなど、200以上の数値目標を含む多岐にわたるものです。
目標の達成には国民の参加も不可欠とされます。
例えば、食料の生産や輸送は多くのエネルギーや自然への負荷がかかるため、食材の“地産地消”や食べ残しをなくすことも生物多様性の保全につながります。そこで、食品ロスの半減といった目標も挙げられています。
また国内で数百万匹飼育されているアメリカザリガニやアカミミガメも実は外来種で、今後は飼育するのは構いませんが捨てることなどは禁じられます。
世界的に「自然環境より当面のエネルギーや食料確保を」といった空気も強まる中、生物多様性の回復は容易なことではありませんが、これからアウトドアによいシーズンですし、まずは多くの人が身近な自然に触れ関心を持つことも大切な一歩だと思います。
この委員の記事一覧はこちら