自衛隊が使用する装備品の研究開発を担う防衛装備庁が、レーザー兵器の実用化に向けた実証試験をこの春から始めることにしています。
Q)車両から一直線に伸びているのがレーザーですね。
A)アニメやSF映画でも登場する、いわば近未来の兵器で、正式には高出力レーザーと言います。ただこれはあくまでイメージで、アニメなどと違い実際には見えません。虫眼鏡で太陽の光を一点に集中させ紙を焦がすのと同じ原理で、電力でレーザーを発生させ熱で対象物を破壊します。
先週、試作機が防衛装備庁の試験場に納入され、今後3年ほど試験を重ね実用化を目指したいとしています。
Q)開発に力を入れている理由は?
A)大きいのは低コストという点です。ミサイルは1発が数千万円から数億円するのに対し、レーザーは1回照射するのにかかる費用は数百円。電力が続く限り弾切れの心配もなく、政府が課題としている弾薬の確保にも将来的には資するとしています。ただ、あくまで熱によって破壊するため威力や射程に課題があり、それが実用化に向けたハードルともなります。
Q)破壊できるものが限定されるということですか?
A)小型のドローンや近距離で使用される迫撃砲弾などに限られるとしています。ただウクライナでも使われているドローンは、今後有事の際には安価で小型のものが大量に使用されることも想定されています。
それに対処するには1発ずつのミサイルよりレーザーの方が効果的でコスト面でも利点があるとしているのです。こうしたことからアメリカやイスラエルなども開発を急いでいます。
Q)新たな戦い方に伴い兵器の開発も進んでいくのですね。
A)そうですね。ただ新たな兵器の開発を進めれば進めるほど緊張が高まる懸念もあります。政府には、新たな分野での軍拡競争につながらないような国際環境を作り出す努力というものも、今後いっそう求められていくと思います。
この委員の記事一覧はこちら