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衆議院憲法審査会が初開催 議論の行方は

権藤 敏範  解説委員

衆議院では2日、今国会で初めて憲法審査会が開かれます。

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Q)何が議論の中心になりそうですか?

A)緊急事態における国会の対応です。具体的には、憲法を改正して、大規模災害などで選挙が行えない場合に国会議員の任期を延長する必要があるのかということです。今国会で意見の集約を図れるのかが焦点です。

Q)意見集約には何がポイントになりますか?

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A)カギを握るのは立憲民主の対応だと思います。自民・公明両党に維新、国民民主の4党は緊急事態には議員任期の延長が必要だとしていますが、共産は反対しています。立民は検討の必要性は認めているものの慎重な立場です。というのも、党の内外に気を配らなければならない難しい事情があるからです。

Q)どういう事情があるのですか?

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A)立民は憲法を積極的に議論する「論憲」を掲げていますが、党内には憲法改正に慎重な議員も少なくありません。改憲に前向きな姿勢を示すことへの反発も根強く、立場をより鮮明にすれば党内対立が激化しかねないという懸念もあります。
一方、立民は改憲に積極的な維新と今国会でも協調し政策の実現を目指していく方針です。ただ、両党の憲法に対する考え方の違いは大きく、2月には早くもそれが見て取れました。

Q)何があったのですか?

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A)審査会をいつから始めるかということをめぐり両党が対立したのです。維新が去年と同じように2月の開催を求めたのに対し、立民は新年度予算案の審議を優先すべきとして応じなかったため、初開催が3月にずれ込みました。党首同士がお互いに厳しくけん制し合う場面も見られ、今後の連携が見通せなくなったという指摘もあります。
4月には統一地方選挙や衆参5つの補欠選挙を控え各党の思惑や事情が審査会に影響を及ぼす可能性もあります。こうした中、今後の議論がどう進むのか注目です。


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権藤 敏範  解説委員

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