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ウクライナ侵攻1年 終わりの見えない戦争に打開策はあるのか

安間 英夫  解説委員

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてからきょう24日で1年になります。
終わりの見えない戦争に打開策はあるのでしょうか。

Q)現地では激しい戦闘が続いていますね。

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A)この悲惨な戦争、残念ながら終わりが見えないばかりか、大国同士の非難の応酬となっています。
今週20日、アメリカのバイデン大統領は侵攻後初めて電撃的にウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領に「揺るぎない支持」と新たな武器支援を表明しました。
また21日は隣国ポーランドで「ロシアが勝利することはない」と演説し、プーチン大統領をけん制しました。

Q)一方のプーチン大統領も対決姿勢を崩していませんね。

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A)プーチン大統領は21日の年次教書演説のなかで、「欧米こそがウクライナを利用してロシアに戦争を始めた」と軍事侵攻を正当化し、核戦力も誇示しながら侵攻を続ける構えを示しました。
ロシアの軍事侵攻は、ウクライナ国民にとって祖国防衛の戦いであると同時に、プーチン大統領も欧米に対する体制の存亡をかけた戦いと位置づけ、双方一歩も引く構えを見せていません。

Q)今週は中国の動きもありましたね。

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A)中国で外交を統括する王毅政治局委員がロシアを訪問しました。
王毅政治局委員はこれを前にウクライナの外相とも会談し、ロシアとウクライナの間の仲介につながるかもしれないという見方も出ていましたが、22日のプーチン大統領との会談ではロシアと関係を重視し連携を続ける姿勢を伝えました。
一方で中国はアメリカから、ロシアに武器支援をするのではないかと懸念を向けられています。
中国としては少なくとも今のところ、欧米との間で決定的な対立や制裁につながる事態を慎重に避けながら、ロシアとの関係は維持していく構えと見られます。

Q)事態打開のめどはあるのでしょうか。

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A)非常に厳しい状況です。
ことし日本が議長国を務めるG7もきょう24日、オンラインでゼレンスキー大統領も招いて首脳会議を行い、ウクライナへの支援の継続を確認する構えです。
ただ特に経済面で、いつまでウクライナを支え続けることができるか見通すことはできません。
これ以上犠牲を増やさないためにできることはないのか、この戦争を終結させる方法はないのか、そしてなぜこうした侵略戦争を防ぐことができなかったのか、国際社会としても侵攻1年を期に改めて考える必要があるのではないでしょうか。


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安間 英夫  解説委員

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