トルコ南部ではふたつの大地震が続けて発生して広い範囲に被害をもたらし、最初の地震が後の地震を誘発したと見られることがわかってきました。松本解説委員に聞きます。
Q)誘発したというのはどういうことですか?
A)
今回、まず南西から北東に延びる東アナトリア断層帯でマグニチュード7.8の巨大地震が起きました。その9時間後に東西に走る別の断層帯でマグニチュード7.5の大地震が起きました。ふたつの断層は交わっていて、震源地はおよそ100キロ離れています。
東北大学の遠田晋次教授は観測されたデータをもとに最初の地震で地下の岩盤がずれ動いたことが、ふたつめの地震断層にどう影響したのかを計算しました。
Q)100キロ離れていますが影響はあったのですか?
A)
最初の断層が10メートルずれ動いたことで、もうひとつの断層で1平方メートルあたり20トンの圧力が増したという計算結果が得られました。すでに地震のエネルギーをぎりぎりまで貯めていたところにこの力が加わったことで、発生が促されたと見られるのです。
実は、よく似た地震は日本でも起きています。
Q)どういう地震ですか?
A)
7年前の熊本地震です。熊本地震も交差するふたつの断層で28時間置いて大きな地震が相次ぎ、最初の地震によって後発地震が促されたと分析されています。
南海トラフで想定されている巨大地震も地震が連動して発生するケースが想定されています。
いまはトルコとシリアへの救援が急がれます。一方、日本への教訓のひとつとして、多くの断層が密集する場所で強い地震が起きたり、沖合で大きな地震が起きたりした場合は、特に、地震の連動も考えて警戒レベルを一層引き上げる必要がある、ということが指摘できると思います。
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