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激しさ増すか序盤の与野党論戦 衆院予算委のポイントは

権藤 敏範  解説委員

国会では30日から衆議院予算委員会で新年度予算案の実質的な審議が始まり、与野党の論戦が本格化します。

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Q)ポイントは何ですか?

A)大きな争点になるのが防衛力強化と少子化対策ですが、この2つは議論の進め方から違うというのがポイントです。防衛力強化では政府が具体的な項目に加え財源まで示していますが、少子化対策では財源どころか大枠もまだなのです。

Q)それによってどう違ってくるのですか?

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A)防衛力強化では、政府の方針を野党側が追及する場面が増えそうです。政府は、防衛費の規模を今後5年間で43兆円程度とし、2027年度には1兆円余りを増税で賄います。「反撃能力」も保有する方針です。これに対し野党各党は、反撃能力には賛否が分かれるものの、増税には一斉に反発しています。では例えば財源はどうするのか。歳出改革でどこまで捻出できるのか。恒常的な支出である防衛費を国債で賄っていいのか。そもそも前提に置いた規模が妥当なのか。防衛力強化の必要性も含め大本の議論も欠かせないと思います。

Q)では、少子化対策はどうですか?

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A)政府が子ども予算の倍増に向けた大枠を提示するのは6月までとまだ先なのですが、4月の統一地方選挙に向けた各党の格好のアピール合戦の場になっているような様相です。例えば、児童手当の拡充では、野党だけでなく自民党からも所得制限の撤廃を求める意見が出るなど、各党で対策の充実に向けた方向性は概ね一致していると言えます。それならば、希望する人にとって子どもを産み育てやすくなるように社会全体の仕組みや働き方についても並行して検討していくべきではないでしょうか。

Q)岸田総理は議論にどう臨むのですか?

A)支持率が低迷している中でも防衛政策や原発政策の大転換を行い、このイラストのように難しい課題に取り組む強気の姿勢は崩していないようです。予算委員会では1問1答形式で詰めた質問が多くなるので、岸田総理がどう対応するのかその答弁にも注目です。


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権藤 敏範  解説委員

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