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尖閣諸島 地元が調査へ

田中 泰臣  解説委員

中国海警局が領海侵入を繰り返す沖縄県の尖閣諸島。島の状況について、地元である石垣市が調査を行います。

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Q)双眼鏡で島の方を見ていますね。調査は船から行うのですか?

A)大学に委託して行う海洋調査の一環だとしています。石垣市はいずれ上陸して調査をしたい考えですが、そもそも島の所有者である政府は「安定的な維持管理のため」との理由で上陸を認めていません。

Q)海上から何を調べるのですか?

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A)海岸に流れ着いた「漂着ごみ」の状況や、魚釣島は1970年代に持ち込まれたヤギが増加したことによる「食害」が深刻で、ドローンを飛ばして現状を調べる予定です。市としては「調査を通じて政府に環境保全を求めていきたい」また「改めて尖閣諸島が石垣市の一部であることを内外に示したい」考えです。ただ中国海警局の横やりが入る可能性があります。

Q)どういうことでしょうか?

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A)市が去年初めて調査を行った際、領海侵入して調査船に接近しようとし海上保安庁の巡視船が間に入り近づけないようにしたのです。中国海警局、近年は漁船を含め日本の船が来ると必ず領海侵入し、電光掲示板で「中国の領土だ。直ちに退去を」と中国語で訴える。海上保安庁は「主張は受け入れられない」と領海から出るよう要求する状況が続いています。

Q)そうした状況いつまで続くのでしょうか。

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A)政府は、外交ルートでは厳重に抗議。発信面での強化にも取り組んでいますが中国の行動は徐々に深刻化していて状況の改善は容易ではないと思います。
石垣市には、この問題の情報発信などのために2億円を超える寄付が寄せられ、今回の調査はそれを活用します。ただ政府には不必要に事態をエスカレートさせるのは得策ではないとの思いもあると見られます。一方で領海を守るのはもちろん島の維持・管理についても考えていく必要があるのではないでしょうか。


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田中 泰臣  解説委員

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