一昨年10月に行われた衆議院選挙をめぐり、いわゆる1票の格差が憲法に違反するかどうか争われた裁判で、最高裁判所大法廷が25日午後に判決を言い渡します。最高裁の判断のポイントと注目点です。
Q:国会と裁判所が卓球をしています。ただ、国会のラケットの方が2倍くらい大きいですよ。
A:2倍ではなく正確には2.08倍です。1票の格差をラケットの大きさで表しました。最高裁と国会でラリーが続いています。2つの弁護士グループは、この格差が憲法違反だと主張して16件の裁判を起こしました。全国の高裁は9件が「合憲」、7件が「違憲状態」と判断が分かれていました。
Q:そこで今回、最高裁大法廷で統一した判断が示されるわけですね。
A:弁護士グループは格差が2倍を超える選挙区は29に上り、「著しく不平等だ」としています。
一方、選挙管理委員会側は次回の選挙が「10増10減」の新たな区割りで実施されることなどから、「憲法には違反しない」と主張しています。
Q:最高裁の判断はどうなるでしょう。
A:前回の1.98倍が合憲、前々回の2、13倍は違憲状態でした。明確な基準があるとはしていませんが、衆議院選挙の1票の格差では、最近は「2倍」がいわば目安の1つにもなっているようです。今回、わずかながら2倍を超えています。
また、原告は合計で実に1360万人の有権者が、同じ1票でも半分の投票権しかないとしています。
一方で、次からは区割りも見直されます。こうした国会の取り組みをどう見るかもポイントです。
Q:試合が長引いているのでしょうか。どちらも疲れてきたようです。
A:弁護士のグループが国政選挙で起こした1票の格差をめぐる裁判では、立法と司法のラリーは実に60年近く繰り返されています。格差を手直ししては、また拡大し、司法が警告するという歴史です。
国会は地域の声と1票の価値のバランスをどう取るか。最高裁が示すメッセージも踏まえて、長く続くラリーをどうすれば終わらせることができるか。一層の取り組みが求められます。
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