プーチン大統領はロシア正教のクリスマスにあたる7日に合わせて停戦を命じましたが、ウクライナ側は「占領地からさって初めて一時停戦が始まる」と批判しています。
石川専門解説委員です。
Q そもそもクリスマスは12月25日ではないのですか?
A イエスキリストの生誕祭クリスマスは12月25日、それは変わりません。
暦が違うのです。ウクライナとロシアは多くの人がキリスト教の東方正教の信者です。
ロシアやウクライナなど多くの東方正教会で使われる暦は、今の西暦とは異なる古いユリウス暦を使い、7日が12月25日にあたるのです。どの暦を使うのかはそれぞれの宗教にとっては大切で、ロシアやウクライナなど多くの東方正教会ではクリスマスなどの期日は今も昔からのユリウス暦に従っています。しかし本来は政治とは関係ないクリスマスの期日めぐっても、戦争が亀裂を深めています。
Q クリスマスの期日をめぐる亀裂とは?
A ウクライナの正教徒の中でもロシアと同じ1月7日には、クリスマスを祝いたくないという人も増えて、12月25日をクリスマスとする人が多数派となっています。今年から一部のウクライナ正教の教会でも12月25日にクリスマスの儀式をするようになりました。さらに戦争への教会の態度も亀裂を深める原因となっています。
Q 戦争への教会の態度とは?
A ロシア正教会は伝統的に国との結びつきが深く、いわば国教、トップのキリル総主教は軍事侵攻支持の立場を鮮明にしています。ソビエト時代までモスクワがウクライナの教会の管轄権を握っていましたが、独立後のウクライナでは、自立したウクライナ正教会とモスクワ派の正教会に分裂しました。キリル総主教はプーチン大統領と同様、ウクライナの教会のロシアへの統合を主張しているのです。ウクライナ正教会ではウクライナ勝利への祈りがささげられ、軍事侵攻を正当化するロシア正教への反発が強まっています。
それでも6日から7日、ウクライナとロシアの多くの教会でクリスマスを祝います。戦争ではなく平和への祈りであってほしいものです。
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