消費税を正確に納めてもらうための新しいルール、インボイス制度の導入が、
今年10月に迫りました。担当は竹田忠解説委員です。
【 制度が始まると、誰がどういう影響を受けるんですか?】
この話し、ざっくり言うと、自営業やフリーランスの人が、
インボイスと呼ばれる新たな書類を出せるようにならないと
大手との取引がしづらくなるんじゃないか?
そういう懸念が広がっているという話しなんです。
【具体的にはどういうこと?】
たとえば、この女性が1万円分のイラストの仕事を請け負った。
今なら、発注先の企業に
消費税1000円をプラスして1万1000円を請求すればいい。
企業は、後で納税する時に
この1000円分は控除、つまり引いて納めることができる。
ところが、今年10月からは、今の方法では認められなくなる。
企業が引き続き控除を受けるためには
インボイスと呼ばれる、消費税の詳しい証明書を
仕事を受けた側に発行してもらう必要がある。
【つまり、インボイスを出せば問題ないということか?】
そうなんです。でも、この女性が売り上げ1000万円以下の場合は
免税事業者といって、消費税を納めなくていいんです。
納めてないので、インボイスも出せない。
そうすると、相手側の企業は控除が受けられず、その分、損することになって
次からはインボイスを出せる人に仕事を頼むかもしれない。
実際、東京商工リサーチが先月(2022年12月)行ったアンケート調査では
今後、免税事業者との取引について
これまで通りと答えた企業が4割ある一方で
取り引きしない、と答えた企業も1割あるんです。
【 では、どうすれば? 】
政府は、新たな負担軽減策として
▽1万円未満の取引なら、インボイスなしでも控除を認める。
▽また免税事業者がインボイスが発行できる課税事業者に
転換する場合は、納税額を軽減する、などの措置をとる方針です。
ただ、どちらも時限的な措置であることや
1万円未満という額について、もっと広げるべきだ、という声もあります。
というのも政府としては
多様な働き方としてフリーランスや独立した働き方を後押ししているわけです。
立場が弱くても、小規模でも、事業が継続していけるように
政府として一定の配慮が必要だと思います。
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