コロナ禍で機能不全が露わになった
かかりつけ医のあり方をめぐる政府の検討が大詰めを迎えています。
竹田忠解説委員です(たけだ・ただし)
Qコロナ禍では、いつも通う医療機関で受診を断られるということが
各地で起きて、大きな問題になりましたが?
A
そうなんです。
患者が自分のかかりつけ医に診てもらおうとしても
イヤ、うちは違います、と言って門前払いされたり、
ワクチンの接種や、自宅療養中の往診を拒まれたりして、
全く、医療が受けられない「受診難民」が大きな問題になった。
Qなぜ、そんなことが起きるんでしょうか?
A
そもそも、「かかりつけ医」というのは制度化されてないんです。
普段診てもらっている、馴染みの医療機関のことを、
普通、そういっているだけで、何か特別な約束を結んでいるわけではない。
なので、コロナ禍でも、使命感をもって患者に対応する医師もいれば、
そうでなくても何かペナルティーがあるわけではない。
そこで、政府としてハッキリさせようということになったわけです。
Qで、どういう話しになってるんですか?
A
関係者の意見が割れてます。
まず、医療費を払う側、つまり患者側の立場である健康保険組合連合会は、
▽そもそもどの医療機関が、かかりつけ医の役目を果たせるのか、
チャンと第三者機関が「認定」をする。
▽その上で、患者も登録制にして
医師が患者に対して、ハッキリ責任を持つ制度にすべきだと。
一方、日本医師会は、医療はあくまで医師と患者の信頼関係で成り立つのであって、
それを制度で縛るのはおかしい、として制度化そのものに反対している。
さらに、政府の全世代型社会保障構築会議は、
その中間をとる形で、一律に行うのではなく、
希望する医療機関と患者が合意の上で始める「手上げ方式」を提案した。
Qそうすると、その案が着地点ということですか?
A
と思ったら、さらに厚生労働省が、もっと限定的な案を出してきた。
認定も、登録もなし。
かかりつけの患者の対象となるのは
医師が継続的に診ることが必要と判断した人だけ。
たとえば高齢者で慢性疾患のある人などに限定する、という案を出して、
政府はこれをベースに今後法改正を進める方針なんです。
だた、これだと、若い人を含め、多くの患者が
かかりつけの患者の対象にならないので、
今回の最大の課題である、「いざという時、医療にかかれるのか」という問題が、
どこまで解消できるのか、これが今後の焦点だと思います。
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