東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件で、紳士服大手の「AOKIホールディングス」の前会長ら3人の初公判が、12月22日に東京地方裁判所で開かれます。一連の汚職事件の裁判はこれが初めてです。
Q:五輪の形をした沼、「ごりん沼」。水がだいぶ抜けたようです。
A:水を全部抜くところまではいかなかったようですが、これまでの捜査で贈賄側は紳士服大手、出版大手、ぬいぐるみの製造・販売などを行う会社、広告会社など5つの企業の経営トップらが起訴されました。
22日はこのうち「AOKIホールディングス」前会長の青木拡憲被告(84)ら3人の初公判が開かれます。2800万円のわいろを渡したとして贈賄の罪に問われています。初公判で3人は起訴内容を認めるとみられます。
スポンサー選定などをめぐって、具体的なやりとりが法廷でどこまで明らかになるか注目です。
Q:ほかの被告の裁判は今後行われるわけですね。
A:今回は贈賄側、それも1社のみです。この事件では、大会組織委員会の元理事、高橋治之被告(78)も受託収賄の罪で起訴されています。受け取ったわいろの総額は2億円近くに上るとされます。
元理事は関係者によるとこれまで不正を否定しているということです。
Q:柵の外には心配そうに見ている人がいます。
A:札幌市が2030年の冬季大会の招致を目指していて、影響も懸念されます。JOCの山下泰裕会長は12月取材に応じ、事件について「深刻に受け止めている」などと話しています。
また、IOC・国際オリンピック委員会は12月、スイスで理事会を開き、2030年の開催地の決定を当初予定していた来年の総会よりあとへ先送りすることを決めました。
加えて、もう1つ気がかりなことがあります。
Q:それは何でしょうか。
A:今度は東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会をめぐって、新たな談合事件が明らかになったことです。東京地検特捜部と公正取引委員会はこれまでに広告大手やイベント制作会社を捜索しています。
こちらの「テスト大会沼」は、果たしてどこまで深いのか。
実態解明を望むとともに、国民の信頼回復のために、再発防止策の検討も急いでほしいと思います。
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