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初の『質問権』行使 今後どうなる?

木村 祥子  解説委員

文部科学省は旧統一教会に対し宗教法人法に基づく「質問権」を初めて行使しました。そしてきょう(9日)が回答期限となっています。解散命令請求につながる可能性もある「質問権」を使った調査。今後の手続きはどうなっていくのか解説します。

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Q:「質問権」の回答期限が「きょう」ということですが。
A:旧統一教会によりますと、きのう(8日)夕方、報告を求められた資料などを文部科学省に向けて送ったということで、きょう中には届くものとみられます。

Q:今後はどのように調査が進んでいくのでしょうか。
A:文部科学省は質問権の行使にあたって教団に対し「組織運営」と「財産・収支」の報告を求めています。
教団の意思決定の仕組みや組織内でのお金の流れをつかむためで、その過程で「違法性がなかったか」などを調べていくということです。

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Q:「複数回やりとり?」とありますが、どういう意味ですか?
A:「質問権」の行使は初めてですので、教団からどういった内容が返ってくるかは未知数です。
文部科学省は回答を精査した上で、不明な点があった場合には追加で質問を行うということです。ただそうなった場合には永岡文部科学大臣は質問権を行使するごとに、宗教界や大学教授らでつくる「宗教法人審議会」に質問内容を諮問します。

Q:手続きが煩雑ですね。
A:そうですね。質問権の乱用や恣意(しい)的な運用を防ぐためで、信教の自由の保障などを踏まえて慎重に進める方針です。

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Q:雲が晴れて「分かれ道」が見えてきましたね。
A: 調査によって行為の「組織性、悪質性、継続性」が認められれば、文部科学省は裁判所に解散命令を請求します。一方、これらが認められず、解散命令の事由に「該当しない」と判断されれば、請求はせず「終了」となります。
解散命令の可否は最終的には裁判所が判断することになりますが、今回の質問権の行使は宗教法人に対する新たな公権力の行使の先例となるだけに、今後の行方に注目が集まっています。


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