アメリカ議会指導部の世代交代について、髙橋解説委員とお伝えします。
Q1.
けさのイラストは、たいまつを灯して議会の屋根に登ろうとしているのは誰ですか?
A1.
与党・民主党の議員総会で新たな下院トップに選ばれたニューヨーク・ブルックリン選出のハキーム・ジェフリーズ議員です。これまで20年近く民主党の下院トップに君臨し、今期限りで指導部から退くペロシ下院議長より30歳も若い52歳。民主・共和両党を通じて、黒人のトップは、初めてとなります。
一方、野党・共和党の下院トップ、ケビン・マッカーシー院内総務は57歳。先の中間選挙で共和党は、下院の多数派を僅差で奪還しましたから、来年1月からの新しい議会で、多くの共和党議員が造反しなければ、次の下院議長に選ばれる見通しです。
Q2.
下院トップは、世代交代が進むのですね?
A2.
上院の両党の指導部は、それぞれ72歳と80歳のトップが続投します。下院議員は任期が2年。上院議員は任期が6年。下院の方が、議員たちの世代交代を反映しやすいのかも知れません。
ちなみにバイデン大統領は史上最高齢の80歳。トランプ前大統領は76歳。議会指導部の世代交代が、2年後の大統領選挙に向けて、次の世代の立候補に影響するかどうかも注目です。ただ、これからの議会運営は、ますます難しくなるかも知れません。
Q3.
どうしてですか?
A3.
いまのアメリカ議会は、民主党の場合は急進左派、共和党の場合は保守強硬派、それぞれ極端な主張をする議員たちの両極化が進んでいるからです。
しかも、そうした議員たちに党の方針に従うよう求める“党議拘束”もありません。たとえば予算や法案に賛成するか反対するかは、個々の議員たちの判断に委ねられているのです。このため、バラバラな意見をそれぞれの党内で調整し、超党派の協力も模索するのが、議会指導部の役割です。
民主・共和両党の新しい議会指導部は、どこまでリーダーシップを発揮できるかを問われようとしています。
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