日本初の月面着陸を目指す着陸機OMOTENASHIは、きょう着陸に挑む計画ですがトラブルに見舞われており、タイムリミットが迫っています。水野倫之解説委員の解説。
OMOTENASHIは1辺37㎝と両手で持てるくらいのサイズで月面着陸機としては世界最小。
着陸機の小型化、低コスト化を進め月面探査をより活発にしようとJAXAの有志チームが開発。
先週、アメリカの新型ロケットに相乗りして打ち上げられ、月へと向かった。
こんなに小さくて着陸できるのかと思うかもしれないが確かに月は地球の6分の1の重力があり、減速できなければ大破してしまう。
これまでに成功したのは旧ソビエト、アメリカ、中国の3か国だけで、いずれも大型の逆噴射エンジンが搭載されていた。
これに対し今回は相乗りで14キロ以下という制限があり、チームは着陸させるのは地球に信号を送信するこの装置に限定し、超小型のロケット花火のようなエンジンで減速する作戦をとった。
計画では日本時間の今夜11時過ぎに逆噴射して着陸するはずだったが、トラブルでピンチ。
姿勢の制御がうまくいかず、太陽電池が太陽に背を向けたまま高速で回転してしまい電力が低下。
地上と通信できなくなっている。
このままでは着陸のための逆噴射をさせることができない。
JAXAでは姿勢の回復を待って通信が確保できないか、24時間体制で信号を送り確認作業を進めている。
この先状況がかなり厳しいことは確か。
このままではOMOTENASHIは月を通過してしまうので、着陸に向けた復旧作業は今夜8時頃がタイムリミット。
ただ電力さえ回復すれば挑戦できる可能性があり、チームはあきらめてはいない。
初代の小惑星探査機はやぶさも一時行方不明になったが、地球への帰還を果たした実績があるわけで、いまこそ当時のノウハウを結集し、奇跡の着陸を実現させてほしい。
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