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アメリカ中間選挙まで1週間 激戦3州は?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ中間選挙まで1日で1週間となりました。民主・共和両党が激しく競り合う激戦州の攻防について、髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、連邦議会に波が押し寄せる?
A1)
今度の中間選挙で、共和党はシンボルカラーの赤色にちなんで“赤い波”、それも映画のタイトルに喩えれば、さしずめ「ビッグチューズデー」の大波をねらいます。
下院は今のところ共和党が優勢で、与党・民主党は、どうやらこの波に飲み込まれ、下院で多数派の座を失う気配が濃厚です。目下の焦点は、この“赤い波”は、両党が拮抗している上院にも届くかどうか?その行方を左右するのが、こちらの激戦3州で、それぞれ共和党から立候補している3人です。

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Q2)
どういう人物ですか?
A2)
中西部オハイオ州のバンス候補は作家です。繁栄から取り残された白人貧困家庭を描いた「ヒルビリー・エレジー」はベストセラーになりました。
南部ジョージア州のウォーカー候補は、アメリカンフットボールの元スター選手です。総合格闘技にも挑戦したほか、冬のオリンピックにもボブスレーで出場経験があります。
東部ペンシルベニア州のオズ候補は、医師で長年テレビの健康バラエティー番組で「ドクター・オズ」として司会を務めました。
3人とも政治経験はほとんどありません。知名度が高く、セレブ好きのトランプ前大統領から推薦を受け、予備選を勝ち抜いたのが特徴です。このため、3人が3人とも初当選を果たしたら、共和党は上下両院で多数派奪還の公算が大きく、トランプ氏は影響力の健在ぶりを見せつけることになりそうです。

Q3)
そうなりそうなのですか?
A3)
まだわかりません。3人は、発言の矛盾や過去のスキャンダルで、民主党から批判を浴びる格好の標的になっているからです。このまま接戦が続けば、ジョージア州については、来月の決選投票に決着がもつれ込むかも知れません。
3人が3人とも、こけて落選したら、トランプ氏は責任を問われます。上院の激戦3州の勝敗は、中間選挙の大勢だけではなく、次の2024年の大統領選挙にも影響する可能性がありそうです。


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髙橋 祐介  解説委員

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