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若田光一宇宙飛行士 現役最高齢で5回目の宇宙飛行へ 大ベテラン飛行士への期待

水野 倫之  解説委員

若田光一宇宙飛行士が、日本人現役最高齢で最多となる5回目の宇宙飛行に、5日臨む。
水野倫之解説委員の解説。

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若田さんは数々の日本人初を積み重ねた大ベテラン飛行士。
日本人初のシャトルの機器を操作する資格で初飛行し、初めて宇宙ステーションの建設に参加。
初の長期滞在もし、気配りがきいて周りの飛行士から信頼が厚く、前回日本人初の宇宙ステーションの船長を務め、今回、59歳で最多の5回目の飛行を実現しようとしている。
そんな若田さんの任務、注目は将来の月探査に向けた実証実験。
月面を走るローバーの開発に向け、きぼうで月の重力を再現して潤滑油の挙動を調べたり、長期の探査に備え、飲料水中の細菌を確認する手法を開発。
こうした本来の任務に加えて関係者は、若田さんに大ベテランならではの別の大きな役割を期待。

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それは宇宙ステーションが国際協力の象徴である点を積極的に発信すること。
地上ではウクライナ危機で、ロシアがロケットによる衛星打ち上げサービスを拒否し、運用延長が検討される宇宙ステーションについても2024年以降の離脱を表明、宇宙分野への影響拡大が懸念。

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でも今回若田さんはロシア人飛行士とともに宇宙船の安全確認を行ったり、ロシア人の船外活動で技術支援を予定するなど、宇宙で飛行士たちは協力関係を継続している。
今回は初フライトの飛行士も多くいるが、大ベテランの若田さんが持ち前の気配りで強固な協力関係を築いて多くの成果を生み出してほしいし、簡単ではないが、その成果を会見やSNSで発信することで、国際協力の重要性が地上のロシアの宇宙関係者にも伝わって、宇宙の協力関係の継続につながることを期待したい。

(水野 倫之 解説委員)


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