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夏の節電期間終了も 続く電力不足 冬にはまた節電要請へ

水野 倫之  解説委員

政府が7年ぶりに要請した夏の節電期間がきょうで終了。
ただそれもつかの間、冬にはまた節電が求められそう。水野倫之解説委員の解説。

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この夏は老朽火力などの踏ん張りで乗り切ることができたので、発電所がほっとしている絵を描いてみた。
電力の安定供給には3%の余力が必要で、6月まつに東電管内で5%を下回り
電力ひっ迫注意報が出され、その後節電期間に入った。
ただこの間東京で8月に猛暑が続いた時も、東電管内の余力は5.7%確保され、
注意報とはならなかった。
これは原発などの再開に加え、休止中の老朽火力が老体むち打って再稼働したから。
加えて国民の節電も効果があったとみられる。

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この夏は節電に応じてポイントがもらえる制度も注目されたが、
例えば東電と契約する一般家庭では、34 万件がこの制度に参加し、
7月以降のべ75万家庭が節電に取り組んだということ。
ただ節電これで終わり、ではなく、2か月後にまた求められそう。

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冬場は日照量が少なく太陽光発電が減るため全体の発電量がどうしても少なくなる。
そこで政府は、冬に向けても休止中の老朽火力300万kW分再稼働させる。
しかしこれに原発などを見込んでも、厳しい寒さだと、
東電と東北電力管内で1月に余力は4.1%と、依然厳しい見通し。
加えてもう一つ懸念材料がウクライナ危機。
ロシアからのLNGの供給不安もある。
そこで政府は12月から3月まで、再び全国で節電要請する方針。
ただ続く節電は国民の負担ともなる。
政府は企業の自家発電に協力を求めるなどさらに供給力拡大を図り、
夏とは違う冬場の効果的な節電方法や時間帯について
早めにわかりやすく伝えていくことが求められる。

(水野 倫之 解説委員)


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