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バイデン大統領とガソリン価格

髙橋 祐介  解説委員

アメリカでもガソリン価格の高騰が続き、バイデン大統領は、対策に躍起になっているようです。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、バイデン大統領が見ている不思議な絵、いったい何ですか?
A1)
ガソリン価格は、上がる時にはまるでロケットのように急上昇、下がる時は鳥の羽毛のように、ふわふわ漂って落ちにくいことが多いと言われます。いまアメリカはまさにそんな状態です。今月ガソリンの小売価格は、過去最高値を更新し、コロナ明けで、これから夏の旅行シーズンを迎えて需要が膨らむことから、さらなる値上がりも心配されています。
そこでバイデン大統領は、新たな対策に乗り出しました。

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Q2)
どんな対策ですか?
A2)
先月レギュラーガソリンの価格は、こんな内訳になっていました。
▽1割ほどが税金です。バイデン大統領は、このうち連邦税を3か月間、一時的に免除するよう議会に要請しています。しかし、野党・共和党を含めて承認を得られるかは不透明です。
▽およそ4分の1を占めるのが精製コストです。バイデン政権は、石油大手各社に対し価格抑制への協力を求めていますが、これまで「脱炭素」を政権の看板に掲げてきただけに、こちらもどこまで協力を得られるか、わかりません。
▽6割近くを占める原油価格も当然抑えなければなりません。バイデン大統領は、来月中東を訪問し、主な産油国にも、さらなる増産を働きかけるものとみられます。ただ、人権問題などから冷え込んだサウジアラビアとの関係修復が課題です。

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Q3)
どの対策も価格を抑えられるか、なかなか難しそうですね?
A3)
ひとつ確かなことは、ふわふわ羽毛のように落ちてきたバイデン大統領の支持率も、記録的なインフレへの不満から、今月ついに平均40%の大台を割り込むようになったことでした。このままでは、秋の中間選挙で与党・民主党は大敗を喫しかねません。ガソリン価格は抑えられるのか?大統領の苦悩の日々はまだまだ続きそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)


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