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北京オリンピック開幕まで2週間 中国コロナ感染拡大で厳戒

石井 一利  解説委員

Q1)
冬の北京オリンピックを控えた中国の新型コロナ対策について、石井解説委員とお伝えします。
壁を築いているのは、中国の習近平国家主席ですか?

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A1)
選手などと外部との接触を遮断するいわゆる「バブル方式」がとられるオリンピック・パラリンピックの会場をウイルスから守るよう壁を築く様子に見立てて、イラストにしてみました。
「ゼロコロナ政策」を続ける習近平指導部。
2年前、最初に感染が拡大した武漢で、都市をまるごと封鎖し、感染拡大を防いだと成果を誇った中国は、大規模な検査と、スマホの位置情報などを利用して、人々に行動制限も強いて感染対策を行っています。
ただ、先月ごろから中国国内での感染が再び増え、今月に入ってからは、国内での1日あたりの新規感染者の数が100人を超える日も多くなっています。
欧米などに比べると桁違いに少ない水準ですが、オミクロン株の感染も確認された北京では、あす(22日)以降、市内に入る人には到着後も72時間以内のPCR検査を義務付けるなど、当局は警戒を強めています。

Q2)
オリンピック・パラリンピックに感染拡大の影響はあるのですか?

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A2)
これまでのところ、大会の日程は変更されていません。
しかし、感染状況を踏まえ、チケットについては、一般向けに販売されないことになりました。
会場で競技などを見ることができるのは、招待されたグループに限定されるよう変更されました。

Q3)
ここにきての感染拡大は心配ですね。

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A3)
中国では、来月(2月)1日、旧正月の「春節」を迎えます。
「春節」を前に、今週から、出稼ぎ労働者などが故郷に帰る動きが本格化しています。
ことし、この時期に移動する人は、去年よりも増え、延べ11億8000万人にのぼる見通しです。
北京では、オリンピックに続き、3月には、パラリンピックに加えて、重要な政治イベント全人代=全国人民代表大会も開かれる予定です。
習近平指導部は、今後も、感染対策のためとして、市民生活の制限も、ためらわないとみられます。
しかし、厳格な規制が経済活動を著しく妨げているとの指摘もあり、難しいかじ取りが続きそうです。

(石井 一利 解説委員)


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