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薬機法改正 広告はどうなる?

矢島 ゆき子  解説委員

薬や健康食品などの広告に関わる法律・薬機法が改正され、8月から、制度が変わりました。
どう変わったのでしょうか?

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「これを飲んで免疫力アップ」とか「肥満解消」といった広告を見たことがある方もいるのではないでしょうか?新型コロナウイルスの感染拡大もあり、健康に対する関心がますます高まる中、様々なメディアで健康に関わる商品が広告されていますが、中には、違反している広告もあります。

ではどんな場合に違反するのでしょうか?

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「いわゆる健康食品」の場合、「免疫力アップ」「肥満解消」といった 薬のような効能・効果をうたった広告は違反です。ただし、例外もあります。例えば、特定保健用食品・トクホのマークのあるものは、許可を得た効能・効果を広告することは可能です。また薬で、根拠なく、例えば「糖尿病を治す」と広告すれば、虚偽・誇大広告として違反になります。

8月から、これらの健康食品や薬などの広告に関わる法律・薬機法が改正され、違反広告への対応が変わりました。具体的にどう変わったのでしょうか?

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ケースによって変わりますが、ネット・新聞などで、消費者に広告が「間違いでした」と、説明しなければならなくなりました。これまでは違反広告に対して、広告中止などの指導がされてきましたが、広告をやめただけでは、違法だったことが消費者にきちんと伝わらなかったからです。また薬の虚偽・誇大広告に対しては、違反していた期間の対象商品の売上額の4.5%の課徴金が広告を出した企業などに課せられます。これまでは最高200万円の罰金などもあったのですが、課徴金となり、課せられる金額の上限が実質撤廃されたことになります。

健康情報は玉石混交です。制度が変わったことで、健康不安につけこんだ違法な広告が駆逐され、科学的根拠に基づいた広告から薬の情報をえたり、健康食品を安心して選べるようになることを期待したいと思います。

(矢島 ゆき子 解説委員)


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