NHK 解説委員室

これまでの解説記事

横浜市長選 政権への影響は

権藤 敏範  解説委員

8月22日に投票が行われた横浜市長選挙は、立憲民主党が推薦した候補が勝利しました。

C210823_0.jpg

Q)イラストでは与野党の党首が対峙していますが、立憲民主党など野党側は今後の政局に向けて弾みがついたようですね?

A)そうですね。深刻なのは、与党、自民党です。菅総理が、地元・横浜市の選挙で支援した候補が敗れたため、「選挙の顔」としての求心力が低下するのではないかという見方が出ています。それに、菅総理の再選戦略にも少なからず影響がありそうです。

Q)どういう事ですか?

C210823_2.jpg

A)自民党の総裁選挙の日程は今週決まる見通しで、来月29日の投票を軸に検討されています。菅総理や政権幹部の当初の戦略は、この前に解散をして総裁選挙を10月以降に先送りする。そして衆議院選挙で勝利して総裁選挙を無投票で乗り切ると見られてきましたが、それが崩れつつあります。

Q)では、どうなるのですか?

A)党内では、先に総裁選挙を行うべきだという声が強まると見られています。

C210823_6.jpg

緊急事態宣言が延長されたことで、「宣言下や総裁選挙前の衆議院の解散は難しくなった」という見方が広がっています。
また、市長選挙の敗北や内閣支持率の低迷を受けて、複数の候補者による総裁選挙を通じて党への関心を高めた上で衆議院選挙に臨んだ方が得策だという指摘もあり、菅総理以外の擁立を模索する動きが出始めています。狙いは、「選挙の顔を変えたい」ということでしょうが、このコロナ禍で、党内で争うことに国民の理解が得られるのか見通せないという懸念もあります。

Q)では、衆議院選挙は総裁選挙の後だということですか?

A)そうとも言い切れないのです。緊急事態宣言を大幅に延長しなかったことに、「総裁選挙の前に解散する選択肢を残した」という指摘もあります。
一方で、衆議院選挙をできるだけ先延ばしにすべきだという意見もあります。背景にあるのは、ワクチン接種が進むほど感染は収まり政権の状況も好転するのではないかという考えです。仮に衆議院議員の任期である10月21日に解散すれば、最大で11月下旬まで先延ばしできます。

C210823_7.jpg

今後、感染状況次第ということもあるでしょうが、選択肢が限られてくる中で自民党がどう判断し菅総理がどう決断するのか、注目です。

(権藤 敏範 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

権藤 敏範  解説委員

こちらもオススメ!