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衆院選前?後?いつになる自民総裁選

曽我 英弘  解説委員

自民党は8月下旬(26日)、総裁選挙の日程を決めることにしている。ただ秋には衆議院選挙も控えていて、この2つの選挙がいつ、どのような形で行われるのかが焦点になっている。

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Q.総裁選の日程はいつになるのか。

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A. 自民党総裁の任期は9月30日で満了となるため、党の規程に従えば20日から29日のいずれかとなる見通しだ。ただそれを前に衆議院が解散すれば10月以降に先送りされる運びだ。

Q.菅総理や党執行部はどう考えているのか。

A.パラリンピック閉幕後の9月中にも解散に踏み切って勝利することで、その後の総裁選は無投票で乗り切るというのが戦略とみられてきた。しかしここにきて別のシナリオもささやかれ始めている。

Q.どのようなシナリオか。

A.衆議院議員の任期は10月21日まで残されている。そこで解散総選挙をできるだけ後ろに引っ張る、というものだ。菅総理は先に10月初旬までに国民の8割にワクチンを2回接種できる体制を構築していると強調したが、接種が進むほど感染が収まって社会経済活動も回復し、政権の状況も好転するのではないかという思惑ものぞく。この場合総裁選を予定通り実施するか、総裁の任期を短期間延長する手続きが必要となってくる。

Q.ただ内閣支持率は下がっているが。

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A. オリンピック後も支持率が最低を更新したことに党内では危機感が高まっている。このため複数の候補者による総裁選を通じて党への関心を高めたうえで衆院選に臨んだ方が得策だとして、菅総理以外の擁立を模索する動きも出始めている。一方で感染対策に追われる今、党内で争うことに世論がどう反応するか読み切れないという意見もあり、この動きが党内の大勢となるかは不透明だ。

Q.総裁選を含めこれからの政治、どう展開していくと考えるか。

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A.コロナ次第という面が大きく、現時点で予断を持つことはできないが、総裁選や衆院選のタイミングや構図を占う上で与野党が注目しているが、8月22日の横浜市長選だ。横浜は菅総理の地元でもあり、結果次第では、「選挙の顔」としての菅総理の求心力に少なからず影響を与え、政治全体の流れを左右する可能性もありそうだ。

(曽我 英弘 解説委員)


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