NHK 解説委員室

これまでの解説記事

サッカー欧州選手権 コロナ禍で大観衆!?

二村 伸  解説委員

サッカーの本場ヨーロッパの最強の国を決めるヨーロッパ選手権の準決勝と決勝が6日以降イギリスで行われます。大勢の観客が入り新型コロナの感染拡大が懸念されます。

Q.どれだけの観客が入るのですか?

c210705_1.jpg

準決勝と決勝は、サッカーの聖地とも呼ばれるロンドンのウェンブリー・スタジアムで6万人を超える観客を入れて行われます。4年に1度のヨーロッパ選手権は東京オリンピック・パラリンピックと同様、新型コロナの影響で1年延期され、先月11日から24の代表チームがヨーロッパの11都市で熱戦を繰り広げてきました。準々決勝までは各国が観客を定員の2割から5割ほどに制限しましたが、イギリス政府は準決勝以降、定員の75%まで認めました。7日は地元イングランドが出場するため大勢の観客が詰めかけそうです。

Q.でもイギリスは新型コロナの感染者が再び増えていますよね。

c210705_2.jpg

はい。インドで確認された変異ウイルスデルタ株が猛威を振るい、1日の新規感染者は2万人をこえています。スコットランドでは、ヨーロッパ選手権の競技場やパブなどに集まった2000人の感染が確認されています。また、ロシアではフィンランドのサポーター300人の感染も確認されています。

Q3.6万人も集まれば感染者がさらに増えそうですが、反対の声はないのですか?

ドイツのメルケル首相は危険だと懸念を表明し、イタリアのドラギ首相も決勝戦をローマなど他の場所で行うよう求めていますが、イギリス政府は方針を変えず、ヨーロッパサッカー連盟も、「日常を取り戻す希望の光だ」として支持しています。

c210705_5.jpg

一方、ブラジルで開催中のサッカーの南米選手権、コパ・アメリカは、選手が外部との接触を断つバブル方式をとり、試合も無観客で48時間おきにPCR検査を実施し、主催者側は「世界で最も安全な大会」だと胸を張っていましたが、選手と大会関係者160人以上に感染が広がっています。大観衆の大会と無観客の大会は、東京オリンピック・パラリンピックにも参考になりそうです。

(二村 伸 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

二村 伸  解説委員

こちらもオススメ!