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緊迫!ウクライナ情勢 打開策は

安間 英夫  解説委員

ロシアが、ウクライナとの国境地帯などに10万人を超える規模の軍の部隊を集結させ、緊張が高まっています。
ウクライナを支持する欧米と、ロシアの対立がさらに先鋭化しかねない今回の事態について聞きます。

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Q1)ロシアが軍を集結させているということですが、どのような状況なのでしょうか?

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A1)
ロシア軍が集結している場所は、
▼ウクライナ軍と親ロシア派の武装勢力の戦闘が続いているウクライナ東部との国境地帯と、
▼7年前にロシアがウクライナから併合したクリミアです。
その数について、EU=ヨーロッパ連合はあわせて15万人を超えるという見方を示しています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は今月、東部の前線を視察し、危機感を強めています。

Q2)なぜ今、ロシアはこうした行動に出ているのでしょうか?

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A2)
プーチン大統領の警戒感があると思います。
要因として、
まず▼アメリカで、かねてウクライナと関係の深いバイデン大統領が政権につき、ウクライナへの「揺るぎない支援」を表明し、ロシアによるクリミア併合を認めない姿勢を鮮明にしたこと。
そして▼ウクライナ軍が東部の親ロシア派に攻勢を強めていること、
さらに▼ゼレンスキー大統領が先月、クリミアの返還を目指す国際会議をことし8月に開催すると発表したことがあげられます。
プーチン大統領はこうしたことを、ウクライナがアメリカなど国際社会を巻き込んで、ロシアに圧力をかけてきたと受け止めたのではないでしょうか。

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ウクライナの後ろ盾となっているのは日本を含むG7です。
先週、ロシアに懸念を表明し、緊張を緩和するよう求める共同声明を発表しました。
バイデン大統領もプーチン大統領と電話会談して懸念を伝え、数か月以内の米ロ首脳会談を提案しました。

Q3)今後の見通しは?

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A3)
米ロ首脳が直接電話で話したとはいえ、不測の事態を招くおそれも残されています。
プーチン大統領はきょう、内外政策の基本方針を示す年次教書演説を行う予定です。
一連の問題や欧米との関係についてどう言及するかに注目する必要がありますし、強気のプーチン大統領にG7はじめ国際社会がどう対処していくのか、考えていくことが必要だと思います。

(安間 英夫 解説委員)


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