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コロナ禍の『海外たすけあい』は?

出川 展恒  解説委員

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界の災害被災地や紛争地で暮らす人々の命が、いっそう危険にさらされています。そして、いま行われている、NHKと日本赤十字社の「海外たすけあい」の活動も、コロナの影響を受けています。出川解説委員です。

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Q1:
コロナの影響、世界のすみずみまで広がっているのですね。

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A1:
はい。たとえば、中東のレバノンでは、シリアの内戦を逃れてきた90万人以上の難民が、キャンプ生活を送っています。満足な水道もトイレもなく、真冬の寒さの中、感染が急拡大しています。こうした中、日本赤十字社では、レバノン赤十字社と協力して、キャンプの人々に、安全な飲み水や衛生用品を提供する活動に加えて、今年は、とくに、正しい手洗いのしかたを指導する活動に力を入れています。

Q2:
手洗いの指導ですか。

A2:
はい。赤十字の責任者は、難民キャンプは、大勢が集まって生活するので、「3密」となりやすく、感染予防の知識と方法を周知させることが、何よりも効果的だと話しています。実は、「手洗いの指導」というのは、手洗いの習慣が定着していない地域を対象に、赤十字が、長年、取り組んできた活動なのですが、今年は、「3密」を避けるため、地区ごとに集会を開く、これまでのやり方を大幅に見直しています。

Q3:
具体的に、どう見直したのですか。

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A3:
たとえば、バングラデシュでは、難民にコロナの予防法や手洗いのしかたを指導する際、集会を開くかわりに、研修を受けたボランティアの人たちが、家庭を訪問する方法を取り入れました。
また、アフリカのルワンダでは、去年まで、各地で映画の上映会を開いて、保健衛生の啓発活動を行ってきましたが、今年は、スピーカーを積んだ宣伝カーが村々を回り、「手洗いの大切さ」を歌詞にした人気歌手の歌を流して、知識の普及を図っています。
いずれも主役は地元の人たちで、知恵と熱意でコロナに立ち向かっています。「海外たすけあい」の義援金、今年はこうした活動に使われることになっています。

「NHK海外たすけあい」の受け付けは、今月25日までです。

(出川 展恒 解説委員)


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