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副大統領候補テレビ討論会で『距離』は?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ大統領に向けた共和・民主両党の副大統領候補によるテレビ討論会が、7日、日本時間きょう午前10時から西部ユタ州ソルトレークシティーの大学で行われます。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
イラストは、巻き尺を手に登場した両候補?
A1)
きょう注目されるのは様々な“距離”。退院後も当面ホワイハウスで療養のため選挙活動の中断を余儀なくされたトランプ大統領にとって、首都ワシントンからおよそ3000キロ離れたソルトレークシティーの討論会で、ペンス副大統領がバイデン陣営に引き離された“距離”を縮められるかどうかが気がかりでしょう。大統領の感染判明を受けて、双方の机や椅子の“距離”は、およそ3メートル70センチに広げ、透明の仕切り板を用意し、会場の出入りもマスク着用と事前の検査で陰性であることが必須となります。

Q2)
でもペンス副大統領は新型コロナウイルスには感染していないのですね?
A2)
ペンス副大統領も先月26日、感染者が相次いで確認されたホワイトハウスの行事にマスクなしで出席しましたが、検査の結果は陰性でした。トランプ大統領の感染が判明した2日前から、半径およそ1メートル80センチ以内の“至近距離”で15分間以上一緒にいなかったので、保健当局の基準で「濃厚接触にもあたらない」としています。しかし、討論会では、トランプ政権の新型コロナ対策、とりわけ危機管理を問われることになるでしょう。

Q3)
ハリス上院議員との討論はどうなりそう?
A3)
ハリス上院議員も、当選したら史上最高齢78歳で大統領に就任するバイデン候補からいつでも職務を引き継げるようなナンバー・ツーの資質と能力を問われます。ハリス上院議員はバイデン候補と同じ中道派で、女性初の副大統領を目指しますが、環境などの問題によっては“党内左派と距離が近い”とされていますので、ペンス副大統領はそこを攻撃して際立たせることで、民主党支持層の分断をねらうでしょう。
先週のトランプ大統領とバイデン候補の対決は「まるでプロレスの場外乱闘のようだ」と評されました。きょうこそ本来の政策論争で“アメリカ国民と政治の距離”がこれ以上離れないよう期待したいですね。

(髙橋 祐介 解説委員)


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