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初の直接対決へ トランプvs.バイデン

髙橋 祐介  解説委員

秋のアメリカ大統領選挙で再選をめざすトランプ大統領と政権奪還をねらう民主党のバイデン前副大統領が初めて直接対決するテレビ討論会がまもなく始まります。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、いよいよ戦いのリングにあがる両候補?
A1)
山あり谷ありコロナあり。異例の選挙戦も残り5週間ですから、この対決はきわめて重要です。目下の情勢は、バイデン候補が全米の支持率で数ポイントのリードを保っているものの、トランプ大統領は激戦州でじりじり差を縮め、ここで形勢挽回をねらいます。
“当意即妙”が持ち味のトランプ大統領に対し、バイデン候補はアドリブが苦手で“失言”も多いことから、この大一番に向けて、どれだけ準備してきたかに注目が集まります。

Q2)
論戦のテーマはどうやって決められたのですか?
A2)
新型コロナ対策や人種差別問題それに連邦最高裁の判事選びなど、6つのテーマは司会を務める著名なテレビアンカーのクリス・ウォレス氏が選びました。
そのほかにもトランプ大統領が公開を拒んできた就任前の納税申告や、バイデン候補が副大統領を務めていた当時の次男の外国との癒着疑惑など、双方が“触られたくない質問”が飛び出すか、出たとしたらどう応えるかも注目です。

Q3)
連邦最高裁の判事選びが争点になっているのはなぜですか?
A3)
連邦最高裁が選挙と密接に絡むからです。今月亡くなったリベラル派のギンズバーグ判事の後任に、トランプ大統領は保守派のバレット判事を指名し、来月半ばにも議会上院で承認公聴会が開かれる見込みです。バイデン候補は、判事の空席は選挙のあと「新しい大統領が選ぶべきだ」として反対していますが、この指名が選挙前に承認されたら連邦最高裁の判事9人のうち保守派が6人を占めて優位を確立し、トランプ大統領を支持する保守層は勢いづくでしょう。
しかも今度の選挙は、新型コロナの影響で郵便投票が急増するのが確実です。仮に郵便投票の集計をめぐり混乱が起きた場合、連邦最高裁まで法廷闘争にもつれ込む可能性も現実味を帯びつつあるのです。
そんな波乱含みの終盤戦の流れをどちらがつかむのか?きょうのテレビ対決の出だしが、双方にとって勝負どころとなりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)


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