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藤井聡太棋聖 二冠なるか?!

名越 章浩  解説委員

将棋で、2つ目のタイトルを狙う藤井聡太棋聖。
「王位戦」第4局の見どころについて、名越章浩解説委員が解説します。

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【新記録へ】
藤井棋聖は、きょう(20日)の対局に勝てば二冠達成と八段への昇段が決まることになっていて、今は、まさに王手をかけている状態です。
藤井棋聖は18歳1か月なので、二冠を達成すれば、あの羽生善治九段が平成4年に打ち立てた「21歳11か月」での二冠獲得の最年少記録を3年以上更新することになります。
そして、八段へ昇段すると、あの「ひふみん」こと、加藤一二三九段の記録を塗り替えることになります。

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【逆転もありうる】
藤井棋聖は、ここまで3連勝しているので、数字の上では優位です。
ただ、将棋の歴史の中で、七番勝負で3連勝した棋士が、その後4連敗してタイトルを逃したことが、過去2回だけあります。そのうちの1回が、あの羽生九段。もう1回が、今回の対局相手の木村一基王位です。
木村王位は、逆転もありうる将棋の本当の怖さを、身をもって知っているトップ棋士というわけです。

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【天才棋士と“千駄ヶ谷の受け師”】
逆転を狙う木村王位は、史上最年長の46歳で、去年初タイトルを獲ったばかりの苦労人で、ファンからは「中年の星」と呼ばれています。
さらに、強烈な守り将棋、つまり「受け」を得意としているので、将棋会館のある東京・千駄ヶ谷にちなんで「千駄ケ谷の受け師」とも呼ばれて、親しまれています。
対局前の記者会見で「作戦について準備して参りました」と語っていた木村王位は、第4局の1日目で積極的な将棋を見せていて、ファンをワクワクさせる展開になっています。
天才棋士と称される藤井棋聖が4連勝し、また新たな歴史を作るのか、30歳ほど年上の遅咲きの木村王位が意地を見せるのか、注目です。

(名越 章浩 解説委員)


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