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「変わるか ハンコ社会」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

新型コロナウィルスの影響でテレワークを経験する人も増える中、書類にハンコを押すことを前提とした制度の見直しをすすめようという機運が高まっています。
櫻井解説委員です。

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Q1 「在宅勤務中にハンコを押すためだけに、会社や役所に足を運ばなければならないのはおかしい」。そんな声も聞かれますよね。

A1 そうですね。日本では税金の申告や運転免許の申請といった行政手続きだけで、ハンコを必要とするものが少なくとも1万件あるといわれています。
この中には、法律上義務づけられているのではなく、これまでの制度や慣例で押印を求めているものも多いということです。
そこで、政府は、先週、新たな規制改革実施計画を決定し、本当に必要なもの以外は、年内に見直しをすすめる方針を打ち出しました。
また、経済界と「押印を抜本的に見直す」という共同宣言も出し、官民ともに取り組みを加速するとしています。

Q2 今後は、どういう場面でハンコを使わなくてもいいようになるのでしょうか?

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A2 例えば、家を借りるときや、銀行で融資を受けるときに、ハンコが不要となるよう、法律の改正や制度の見直しがすすめられる見通しです。
民間でも、すでに、銀行が企業向けの融資についてハンコのかわりに、オンラインの電子契約に切り替える動きも出ています。
また、役所や民間企業の内部の手続きは、本人による電子メールなどで十分にその人の書類だと確認できるものも多く、見直しを期待する声も広がっています。
一方で、課題もあります。

Q3 どういう課題ですか?

A3 書類にハンコが押していない場合、内容は本物なのか?といった「不安」をどう払しょくするか、です。

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例えば、保育園の入所申し込みの時に、親が仕事をしていると証明するための就労証明書。実は、こちらも、法律上は、ハンコは必要とされておらず、政府は、地方自治体にその旨、先月もあらためて、通達を出しています。
しかし、自治体は、「不正を防止するため」だとして、今も、押印を求めるところがほとんどで、ハンコに寄せる信頼が根強いともいえます。
それだけに、今後は、本人の意思を確認するための電子署名の普及なども、課題となりそうです。

(櫻井 玲子 解説委員)

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