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「トランプ大統領と暴露本」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのトランプ大統領の“めい”にあたる人物がファミリーの内情を暴露したとする本が14日、全米の書店に並び、注目を集めています。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、キッチンに本が運び込まれてきた?
A1)
秋の大統領選挙を控えて、下ごしらえに余念がないトランプ大統領と民主党のバイデン氏。そこに「あくなき強欲」と題した本を携えてきたのは、大統領の兄の娘で臨床心理士のメアリーさん。トランプ大統領のあの独特のキャラクターはどのように形づくられたのか?生育環境や親族の葛藤を通して「大統領の半生はいんちきだ」「再選されたら民主主義は終わる」とこき下ろす内容です。この本にホワイトハウスは「愚にもつかないうそばかり」と反論しています。

Q2)
なぜ暴露本の出版が後を絶たない?
A2)
出版業界の事情を言えば、売れるからです。現に、FBIのコミー前長官から先日のボルトン前大統領補佐官の回顧録に至るまで、トランプ政権の内情を暴露したとする本は、軒並みベストセラーになりました。歴代の大統領の中で、まだ1期目も終えていない段階で、これほど多くの暴露本が出版されたのはトランプ大統領が初めてでしょう。ただ、内容がどんなに興味深くても、大統領選挙への影響は、仮にあったとしても限定的なものになりそうです。

Q3)
トランプ大統領にはま岩盤のように固い支持層があるから?
A3)
その通り。トランプ大統領への評価は、共和・民主両党で真二つに割れ、ほとんど固まっているからです。いま大統領は新型コロナ対策の不備を批判され、バイデン氏にリードを広げられています。しかし共和党支持層からは、現在も8割から9割前後の支持率を保っています。かつてロナルド・レーガンは、どんなに失策や疑惑が明らかになっても支持率が衰えず、焦げ付かないフライパンに喩えて「テフロン大統領」の異名をとりました。トランプ大統領は、どんなに暴露本で炎上しても、半分は焦げ付かない、いわば「半分だけフッ素樹脂加工」の大統領なのかも知れません。
大統領が味わうのは、甘い勝利か苦い敗北か?勝敗の行方は出来た料理を食べてみるまでわからないでしょう。

(髙橋 祐介 解説委員)

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