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「日本とUAE 宇宙での深い関係とは」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

UAE・アラブ首長国連邦の火星探査機があす(15日)、日本のH2A(えいちにえー)ロケットで打ち上げられます。
水野倫之解説委員の解説。

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UAEといえば火星への移住計画を発表して世界を驚かせた。火星都市の想像図をみるとドバイにあるような超高層ビルもあって、なんとも豪勢。
UAEは石油資源があるのに国として移住しようというが、背景には石油はいずれ枯渇するという危機感がある。
新たな産業を確立しようと人材育成に力を入れるがそのために夢ある火星移住を目標に掲げ、6年前に宇宙機関を設立。

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今回火星に探査機を送り大気を観測するが、もう一つ重要な役割があって、来年のアラブ首長国連邦建国50年を記念する探査機でもある。
そして来年到着のためには、火星が地球に近づくこの夏に打ち上げなければならず、白羽の矢を立てたのがH2Aだった。
H2Aは決められた日時に打ち上げるオンタイム率が90%と世界最高水準にあるから。
三菱重工がH2Aで衛星打ち上げビジネスに参入しているが、価格が高く、あまり売れてない。
ただ唯一誇れるのが緻密な準備作業によるオンタイム率の高さで、三菱はここぞとばかりに売り込んだ。
これに対して国家の記念行事で遅れが許されないアラブ首長国連邦。
ここで両者の思惑が一致、H2Aは国家の威信をかけた挑戦を託された。
H2Aはこれまで海外衛星を5機しか受注できていないが、うち2機がアラブ首長国連邦で関係が深く、三菱重工は今後も一番のお得意様としていく絶好の機会ととらえる。

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現地は新型コロナ対策で作業員を絞っての作業が強いられているが、準備は順調だということで今回も予定通り上げ、宇宙ビジネス拡大につなげていきたいと。
両者の思惑がうまく実を結ぶか、あす午前5時51分27秒ちょうどの打ち上げに注目。

(水野 倫之 解説委員)

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